超高齢社会を迎えた現在,欠損補綴に対するニーズが高まっている.補綴治療を行う際に患者のライフステージを鑑みると,補綴の設計によって予後が大きく変わることは周知のことである.すなわち補綴治療に入る前の設計が患者のその後の人生に大きく影響するといえるだろう. 歯を失い,何らかの補綴治療が必要になった際には,主に「インプラント」「ブリッジ」「義歯」の3つの選択肢のなかから治療を行うことになるが,どの選択肢をどんなタイミングで用いるかは日常臨床で悩ましいテーマである. 患者は,可能であるならばブリッジやインプラントを用いてシンプルに欠損補綴治療を行いたいと考えることが多い.しかし,患者の口腔内を確認し,歯列弓形状,上下の顎間関係,欠損歯数,欠損部位に加えて,ライフステージへの配慮など,総合的な診断を行うと,シンプルに対応するよりも全顎的に対応したほうが予後が良い場合も少なくない.さらに,天然歯のみのオクルーザルコンタクトでは歯列弓の保全が困難である場合,オーバーデンチャーでの対応が有効となることもある. 以上のことから,本稿では将来的な欠損の拡大を防ぐための検査,診断,補綴設計のポイントを,パーシャルデンチャー(以下,RPD)に焦点を当てて解説していきたい.相宮秀俊愛知県開業 吹上みなみ歯科連絡先:〒466‐0003 愛知県名古屋市昭和区曙町2‐7‐1Hidetoshi Aimiyaキーワード:パーシャルデンチャー,欠損形態,支持・把持・維持Considering the Best Choice Based on Defect Morphology Partial Denture Examination, Diagnosis, and Design78the Quintessence. Vol.43 No.2/2024—0320スマホで動画が見られる!MovieP90(使い方:P3参照)特 集 3はじめに欠損形態から考えるパーシャルデンチャーのパーシャルデンチャーの検査,診断,設計検査,診断,設計
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