◆Kennedyの分類Ⅰ級 欠損形態の分類は,残存歯の力のコントロールを図る際に役立つ.具体的には,支持,把持,維持の要素を残存歯の位置や対合関係に合わせて選択することができ,歯および歯周組織への負担を減らすことにつながる. Kennedyの分類(図1)1を用いることで,片顎単(両側遊離端欠損)欠損から離れた位置にレストを設定する.図中の青丸から前方に設定して,近心方向に力を分散させる.図1 Kennedyの分類1.欠損のパターンによるレストの配置を考えるうえで有効である(参考文献1より引用・改変).遊離端欠損部は欠損から離れた位置,中間欠損部分は欠損に近い位置にレストを設定する.中間欠損の数でさらに分類する.Ⅱ級1類(遊離端欠損+中間欠損1か所)Ⅱ級2類(遊離端欠損+中間欠損2か所)位で支持を中心としたレストの配置を考慮できる.Eichnerの分類(図2)2を用いることで,残存歯の上下顎の位置関係をふまえた,咬合状態(残存歯の配置による)に応じた力の向きを考慮したフレームワークの強度,加えて間接固定方法の選択を適切に行うことができる.すなわち支持と把持の要素を決定することに役立つ.宮地の咬合三角(図3)3は,将来の咬合関係の予測を行い,これから行おうとする治療計画に反映させることができる. これらの分類による評価を適切に活用して治療計画を立案し,その治療計画の提案に対して患者が同意できるような説得力をもたせることが重要である.したがって,治療後に残存歯を失い追歯修理を行った際にも,RPDの設計の変更をスムーズに行うことのできるような,将来を考慮した適切な治療ゴールの設定が求められている. 以上のことをふまえて治療ゴールを設定することで,患者のQOLが向上する治療の提供が可能になると筆者は考えている.(中間欠損)欠損に近い位置にレストを設定する.また,リジッドなRPDではクロスアーチにまたがるのが原則であるため,反対側の半透明部に2か所以上のレストを設定し,四角形の関係をつくるようにする.(前方遊離端欠損)前方遊離端欠損と呼ばれるように,遊離端欠損と同様に考える.すなわち,図中の青丸から後方に設定して,遠心方向に力を分散させる.1)欠損補綴治療の目的 欠損補綴治療の目的は,失われた機能の回復と残存組織の保全である.具体的には,①咬合機能や発音の回復,②歯周組織の健康維持,③生体を模倣した歯および歯肉の自然な形態の付与による審美性の回復,④欠損の広がりを防ぐための炎症と力のコントロール,の4つである.2)治療目標を設定する際に必要な欠損形態の分類the Quintessence. Vol.43 No.2/2024—032179Ⅲ級Ⅳ級1.欠損補綴治療の目標
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