ザ・クインテッセンス 2024年2月号
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大谷恭史第1回オーバーレイ概論連載を始めるにあたって連載目次(予定) ▶第1回(2月号) オーバーレイ概論   第2回(4月号) オーバーレイの適応症例   第3回(6月号) オーバーレイの心臓部“接着”   第4回(8月号) オーバーレイの形成・印象   第5回(10月号) オーバーレイの装着・仕上げ 大阪府開業 DENTAL OFFICE OTANI連絡先:〒530‐0012 大阪府大阪市北区芝田2‐2‐1‐3FTakafumi Otaniキーワード: オーバーレイ,咬頭被覆,接着性修復装置 近年の接着技術の向上によって歯質保存的な治療が可能となり,臼歯部の補綴・修復治療において,従来は全部被覆冠による補綴治療が適切であるとされていたケースにおいても,接着技術を最大限生かした部分被覆冠での修復治療が治療のスタンダードとなりつつある. オーバーレイは,咬頭被覆を必要とする症例に対して,接着を最大限に生かした歯質保存的な修復方法として注目されている.これまでの全部被覆冠に対する支台歯形成において重視されてきた維持形態などの概念は必ずしも必要ではなくなるため,歯質保存的な支台歯形成が可能となり,結果的に歯の寿命を伸ばすことにつながると考えられている.とくに失活歯の補綴治療においては,全部被覆冠による補綴処置が必要であると考えられていた症例においても,オーバーレイを適応することでより歯質保存的な修復が可能となる. しかしながら,日本においてはオーバーレイに関する知識の普及が今のところ十分ではなく,歯質の保存のみを重視するばかりに咬頭被覆を行うべき症例においても咬頭被覆を行わず,歯冠破折が生じて結果的に歯の寿命を縮めてしまうケースや,そのような歯冠破折を未然に防ぐために全部被覆冠による補綴治療を選択し,保存可能な歯質まで削除してしまうようなケースを散見する.このような症例に対して,オーバーレイを用いて修復することが,歯に対して保存的かつ予知性の高いアプローチなのでないかと著者は考えている. 本連載では,オーバーレイに関する基本的概念の理解とそれに必要不可欠な接着の基礎,さらにはオーバーレイによる接着修復治療の長期予後に関するエビデンスおよび臨床手技について,臨床例を交えながら解説させていただきたい.Protect Teeth with OverlaysPart1. Introduction of Overlays104the Quintessence. Vol.43 No.2/2024—0346新隔月連載オーバーレイで歯を守ろう

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