ザ・クインテッセンス 2024年3月号
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a図1a,b とくに慣れていないうちは,歯科受診は小児も保護者も不安なもの(a).その不安を取り除いて,信頼関係を築くことが小児歯科診療の第一歩である.小児がリラックスして楽しい気持ちで過ごせるよう,当院でもキッズスペース(b)をはじめ,さまざまな工夫をしている.1)小児を不安にさせない対応の基本b 小児が来院したとき,皆さんはどのように対応しているだろうか? 小児歯科診療に慣れていない歯科医師,歯科衛生士は,「こちらの言うことを聞いてくれるか」「口を開けてくれるか」など,不安に思うことがたくさんあることだろう.一方,小児や保護者にとっても歯科を受診する際は不安でいっぱいである.小児が,すでに「歯医者さん」に対する恐怖心をもってしまっていることもある.また,初めての来院なら,知らない人,知らない物,知らないにおいなどによって,われわれに対する小児の感情はマイナスからのスタートであることをふまえておく必要がある(図1a,b). 小児と保護者の不安を取り除き,信頼関係を築くことが小児歯科診療の最初の一歩である.本項目では,当院で行っている,小児を不安にさせない対応のコツや取り組みを場面別にご紹介する. 当院では,待合室にいる小児の様子を受付スタッフや院内防犯カメラで確認している.たとえば,保●小児も保護者も不安でいっぱい護者に抱っこしてもらい顔をうずめているようであれば,かなり恐怖心が強いことがうかがえる.逆にキッズスペースで楽しく遊んでいるのであれば,緊張はしていても恐怖心は少ないと判断している.もちろん,緊張や恐怖心を少しでも和らげるような配慮は必要である. メラビアンの法則では,人は言語情報から7%,聴覚情報から38%,視覚情報から55%の影響を受けると言われている.言語情報は言葉のみを使ったコミュニケーションであり,確立した言語を使うことである.非言語コミュニケーションに比べると気持ちや感情を伝えることが難しく,言葉だけのコミュニケーションでは,成人であってもうまく伝わらないことがある.一方,聴覚情報と視覚情報の非言語コミュニケーションを合わせると,その割合は93%にもなる.小児に対応する際も,このことを意識するとよい. 聴覚情報は,相手が話している声の大きさやトーン,話す速さや話し方のことで,相手が小児の場合はゆっくりとやさしいトーンで話すと良い.逆に早●少しでもリラックスできるようなキッズスペースthe Quintessence. Vol.43 No.3/2024—0493251.医院で取り組みたい,小児を不安にさせない対応のコツ

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