ザ・クインテッセンス 2024年3月号
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*Department of Periodontics & Oral Medicine, University of Michigan School of Dentistry, Ann Arbor, MI, USA*1Center for clinical Research and evidence synthesis In oral TissuE RegeneratION(CRITERION), Ann Arbor-Boston, USA*2Department of Oral Medicine, Infection, and Immunity, Division of Periodontology, Harvard School of Dental Medicine, Boston, MA, USAる7~10.実際,隣接面アタッチメントロスは,骨量減少の有無を間接的に評価するための信頼性の高いツールと考えられており11,12,これは長年CRCの負の予測因子と考えられてきた7,9,12,13. Henriquesらのランダム化試験14では,上皮下結合組織移植片(connective tissue graft:CTG)と組み合わせた歯肉弁歯冠側移動術(coronally advanced flap:CAF)は,単独でも生物学的製剤を用いた場合でも,RT2GRの被覆範囲には限界があることがわかった.この研究と一致してMercadoら15による最近の試験では,RT2GRをCAF+CTGおよびCAF+CTG+エナメル質誘導体で治療した場合のCRCの達成率はそれぞれ18.5%と22.2%であった. Arocaら16は,複数のRT2GRの治療において,上顎結節から採取したCTGを用いたトンネルテクニック(tunnel technique:TUN)の有効性を調査した.このアプローチを用いる理由は,TUNによって頬側乳頭を骨から剥離し,頬側中央部および歯間部軟組織の歯冠側への移動を可能にするという点である16,17.1年後,TUN+CTGは,乳頭の高さを当初の59%まで増加させた16.しかし,CAFと比較したQuotes From : The International Journal of Esthetic DentistryOriginal Title : Tunneled coronally advanced flap for the treatment of isolated gingival recessions with deficient papillaVOLUME 17, NUMBER 1, 2022©Quintessence Publishing Company Inc.Shayan Barootchi*,*1/Lorenzo Tavelli*,*1,*2 歯肉退縮(gingival recession:GR)は,年齢,性別,民族に関係なく,多くの人びとにみられる非常に一般的な症状である1~3.最近の疫学的研究によると,頬側中央部におけるGRの患者レベルでの割合は91.6%である4.興味深いことに,文献のほとんどの研究がアタッチメントロスのないrecession type(RT)1GRの治療に焦点を当てているにもかかわらず5,6,頬側アタッチメントロス以上の隣接面アタッチメントロスをともなうRT2はもっともよく見られるGRのタイプであり,患者レベルの割合は88.8%であることがわかっている4. 隣接面アタッチメントロスは,診断上の重要な意味をもつだけでなく,GRの完全根面被覆(complete root coverage:CRC)達成の可能性を著しく低下させ翻訳:藤中達哉/船登彰芳(石川県・なぎさ歯科クリニック)the Quintessence. Vol.43 No.3/2024—0563キーワード:歯肉退縮,根面被覆術,トンネル型歯冠側移動術(TCAF)95序論乳頭の退縮をともなう単独の歯肉退縮に対するトンネル型歯冠側移動術

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