ザ・クインテッセンス 2024年3月号
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 連載第1回では,矯正歯科治療(以下“矯正治療”と表記)におけるワイヤー矯正治療(以下“ワイヤー矯正”)と,デジタルの発展とともに躍進しているアライナー矯正治療(以下“アライナー矯正”)のそれぞれの特徴を明らかとした.連載第2回となる今回は,それぞれの診断面の違いについて掘り下げて論じていく(髙井基普). この順番は本来は,逆であるべきではないでしょうか.つまり,始めに歯科矯正学をしっかりと学び,ある程度の経験を積んでラーニングステージを歩み,新しい武器としてアライナー矯正をもつことが理想ではないかいうことです.その良し悪しはさておき,なぜアライナー矯正がここまで浸透するとお考えでしょうか.五十嵐 私は,技術的な面と患者のニーズの2点からだと思います.大学教育のなかで,矯正治療のワイヤーベンディングなどを学ぶ機会は,あったとしても短時間です.そのため,矯正治療の専門教育を受けていないGPがメカニクスを理解し,正確なベンディングや微調整を臨床で行うことは,ハードルが高く敬遠されがちです. その一方で,アライナーを装着するだけで歯を移動させることができ,しかも治療計画を自身だけではなく,ある程度メーカーサイドがサポートをしてくれるのであれば効率的で安心できます. 以上のような,技術面において導入の敷居が下第2回Goichi Nin, Yuji Igarashi, Motohiro Takaiキーワード: ワイヤー矯正,アライナー矯正,デジタルセットアップ, セファロ分析,三次元セファロ分析任 剛一*/五十嵐祐二*1/髙井基普*2*東京都開業 オーラルデザイン下北沢・矯正歯科連絡先:〒155‐0031 東京都世田谷区北沢2‐21‐26‐1F*1東京都開業 五十嵐歯科室連絡先:〒160‐0023 東京都新宿区西新宿1‐5‐11‐9F*2東京都開業 プレミアムデンタルケア恵比寿・代官山連絡先:〒150‐0021 東京都渋谷区恵比寿西1‐22‐5Basic Concept of Orthodontic Treatment:the Comparative Discussion of Braces and Clear AlignersPart 2. The Diagnostic Difference Between Traditional Braces and Clear Aligners髙井(司会) 最近の歯科界では,アライナー矯正の定着とともに興味深い現象が起こっています.GP(一般歯科医)がアライナー矯正を導入し,歯科矯正学のことがわからないまま矯正治療を開始し,後からその勉強をするという現象です.108the Quintessence. Vol.43 No.3/2024—0576はじめにアライナー矯正の魅惑連 載矯正歯科治療のグランドビジョンワイヤー矯正とアライナー矯正の比較検証ワイヤー矯正とアライナー矯正の診断における違い

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