ザ・クインテッセンス 2024年4月号
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滋賀県開業 高山歯科医院連絡先:〒520‐0025 滋賀県大津市皇子が丘2‐10‐25‐1FShinichi Takayamaキーワード:FGF-2製剤(リグロス),骨補填材,β-リン酸三カルシウム(β-TCP),Supra-crestal regeneration 塩基性線維芽細胞増殖因子を用いた歯周組織再生製剤(FGF-2製剤/リグロス〔科研製薬〕)が誕生して今年(2024年)で8年目となる.これまでに,多数の臨床例が報告され,いずれもリグロスの効果に目を丸くするばかりだ1~4. その驚きと高揚感は,まだFGF-2が歯周組織再生薬としてこの世に誕生する以前に行ったイヌやサルを用いた基礎研究時に,数多くの組織切片で創傷治癒の現場で活動している細胞たちの営みを覗いた時に感じた感動と通じている. われわれの体を形作っている細胞たちの働きは,とても複雑であるものの機能的で官能的である.歯周組織再生には,もちろん限界もあるのだが,その現象にはまだまだ未知の部分があり,神秘的である. 歯周組織再生に必要な3要素,細胞増殖因子(成長因子),細胞,足場のうち,細胞増殖因子のFGF-2は,歯根膜に存在している体性幹細胞(組織幹細胞)である間葉系幹細胞に作用していると考えられる.しかしながら,その細胞数は限定的であるために,骨髄幹細胞や脂肪幹細胞,iPS細胞の助けを借りて,より効率的な新しい再生治療の確立が目指されている. 一方,足場について考えてみると,コラーゲンなどのたんぱく質や多糖類,人工材料などがあり,歯周組織再生療法では,さまざまな骨補填材を足場として利用してきた歴史がある. 骨補填材にはさまざまな種類,サイズがある.「どれがもっともよい骨補填材か」,「どんな粒子サイズがよいのか」を見きわめるには,多くの症例の蓄積the Quintessence. Vol.43 No.4/2024—0752高山真一Clinical Approach Using FGF-2 to Induce Tissue RegenerationPart I:Challenges with β-TCP as a Bone Replacement Material58特 集 2FGF-2製剤による組織再生誘導を利用した臨床アプローチ 前編:骨補填材としてβ-TCPを用いた挑戦はじめに

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