歯周組織再生では歯根膜がキーとなっている.骨欠損部が再生していくときに一定の幅でもって歯根膜が再生し,歯槽骨の再生が生じた高さまで新生セメント質も再生する.興味深いことに,外傷歯学から得た知見も歯周組織再生医療学とリンクしてくる. 骨欠損部の不良肉芽組織の徹底的な除去が大切.そのために,どのような切開線を用いるのがよいか考えてみる必要があろう.審美性の優先順位が低い症例では,歯間乳頭の保存に重きを置くのではなく,不良肉芽組織を除去できる切開線を設定すべき. 後編では,歯根端切除術や歯の再植,歯周形成外科へのリグロスの適応外使用症例を供覧する.リグロス適応外使用では副作用発生時の対処も含めた患者の同意が必要である.くれぐれも慎重に行わなければならないが,リグロスの適応外使用についての挑戦を否定するべきではない. 歯周基本治療時から垂直性骨欠損の生じている歯の力のコントロールを,つねに念頭に置くことが必要.フレミタスの有無のチェックはどんなときも行うべきである.咬合調整のみならず,隣在歯を補綴装置で連結したり,咬合高径をあげたりすることも必要となってくる. 骨欠損部に細胞を投与する細胞治療の研究は,ハードルが高く,主に大学研究機関がトライしている.最適な足場の探索は,1つひとつの症例の結果を積み上げることでも可能である.よい結果とならなかった場合も含めて,みんなで建設的に議論する場があればと思う.the Quintessence. Vol.43 No.4/2024—075359①歯周組織再生の過程は美しく, 不思議がいっぱい③切開や掻爬,縫合の基本操作は ⑤FGF-2の適応外使用には 十分注意を払う必要があるが, そのチャレンジは認められるべきもちろん大切 ②目に見えない力のコントロールが ④歯周組織再生の3要素のうち, 最適な足場を見つけ出すことに とても重要開業歯科医師も協力できる読者に伝えたいこと
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