ザ・クインテッセンス 2024年5月号
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Kaori Matsumuraキーワード: 抗菌薬,薬剤耐性, 観血的歯科治療How to Use Antibiotics Based on the Evidence74松村香織公立八女総合病院歯科口腔外科連絡先:〒834‐0034 福岡県八女市高塚540‐2the Quintessence. Vol.43 No.5/2024—0966 薬剤耐性(Antimicrobial Resistance:AMR)とは,本来なら効果があるはずの薬剤が効かない,もしくは効きにくいことを指します(図1).近年,抗菌薬の不適切な使用により,抗菌薬の効かない細菌(耐性菌)の増加が大きな問題になっています.抗菌薬の普及と不適切な使用にともなって病原体は変異し,AMRを獲得しています.2015年5月に開催された世界保健総会では,薬剤耐性対策に関するグローバルアクションプランが採択されました.それを受けて,日本でも2016年4月に薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが策定され,現在もアップデートされています1.なかでも,抗菌薬の適正使用は薬剤耐性対策として最重要の分野の1つとされており,医療における抗菌薬の使用量を減らすこと,主な微生物の薬剤耐性率を下げることに関する数値目標が設定されています. われわれ歯科医師もさまざまな場面で抗菌薬を処方していますが,根拠に基づいて適切に処方できているでしょうか? 歯科医療において投与されている経口抗菌薬はペニシリン系に次いで第三世代セフェム系,マクロライド系の使用量が多いと報告されていますが2,AMR対策アクションプランにおいては経口第三世代セフェム系抗菌薬,マクロライド系抗菌薬の使用量削減が成果指標として設定されており1,歯科においても抗菌薬の適正使用を推進する必要があります. そこで本稿では,歯科における抗菌薬適正使用について解説します.特 集 3はじめに「これまでどおり」「なんとなく」は卒業!エビデンスに基づいた抗菌薬の使い方

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