ザ・クインテッセンス 2024年5月号
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Kiyonobu Saburi佐分利清信愛知県開業 さぶり歯科連絡先:〒460‐0003 愛知県名古屋市中区錦1‐20‐25‐2FWhat’s Interdisciplinary Dentofacial Therapy?Part1. 6 Steps of Simplified Analysisthe Quintessence. Vol.43 No.5/2024—0979キーワード:顎顔面包括歯科治療,セファロ分析87 近年,日本でも多くの著者による包括歯科治療に関する論文や書籍を見かける機会が増えている.それぞれに共通する特徴としてセファロ分析の補綴・インプラント治療分野への臨床応用,歯周治療に矯正歯科治療をコラボレートする取り組みなど,まさに筆者の考える包括歯科治療の考え方と共通する部分も多く述べられ,日本の歯科医療も確実に進化・発展してきたと思われる.筆者は今後さらにこの分野が進歩・発展することを大いに期待している. 筆者の考えるコンセプトは,本誌2004年12月号に症例報告として初めて報告し,早20年近くの年月が経過した.その間,時代とともに多少の追加・修正を加えたものの筆者はこれを継続し臨床応用してきた.今日でもその重要性を確信し,読者の皆様にデントフェイシャル分析法を1つの有効な診断システムとして,ぜひともご活用いただくことを期待する. 顎顔面包括歯科治療とは,歯列と顔面・骨格の形態と三次元的位置やバランスの調和を目指す治療を意味し,一般的には顎顔面矯正歯科または,口腔外科領域の顎顔面外科における外科矯正治療などと深い関連があり,治療対象は顎変形症など,顎顔面領域の形態異常に対するアプローチとして用いられてきた1. しかしながら,患者は外科矯正を拒否する場合もあるし,高齢者で欠損歯列,重度歯周炎を併発するなど外科矯正を適応できない症例も存在する.また,骨格異常の程度がそれほど大きくないボーダー症例では,当然解剖学的な限界は存在するものの,外科矯正以外の手段で可及的にその構造の適正化を目指すという考え方も存在する2. 筆者の意図する顎顔面へのアプローチとは,通常の歯科治療のみならず,特殊な専門的歯科治療技術の複合的な活用により,顎顔面の左右対称性の改善や,上顎・下顎骨の対向関係のバランスを整えたり,第1回新連載連載にあたって1.顎顔面包括歯科治療とはとは何かシンプリファイド分析の6Steps顎顔面包括歯科治療

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