the Quintessence. Vol.43 No.7/2024—139555コンビネーションシンドロームにおけるKellyとSaundersらが示した問題点や現症Kellyが示した5つの問題点ションシンドロームについて記載する. コンビネーションシンドロームは,先述の『歯科補綴学専門用語集』第6版では,「Kelly(1972)3の提案した用語で,上顎無歯顎,下顎両側性遊離端欠損患者において上顎に全部床義歯,下顎に部分床義歯が装着された症例に特徴的にみられる5つの問題点を示す症候群」と定義されている1.その5つの問題点を以下に示す(図1).①上顎前歯部顎堤の骨喪失②上顎結節の下方への過形成③硬口蓋部の乳頭状過形成④下顎前歯の挺出⑤部分床義歯の義歯床下の骨喪失 これらの5つの問題点はGPT-9にも同じく記載されており2,これはやはり1972年のKellyの論文3Saundersが示した6つの問題点①上顎前歯部 顎堤の骨喪失④下顎前歯の 挺出③硬口蓋部の 乳頭状過形成⑤部分床義歯の 義歯床下の骨喪失②上顎結節の 下方への 過形成①咬合高径 の低下⑥歯周組織の変化⑤義歯性線維腫③下顎位の 前方への変化④補綴装置 の不適合②咬合平面 の不均衡abがそのベースにある.Kellyは本論文でコンビネーションシンドロームのキーポイントが上顎前歯部の骨吸収であると述べている3.さらに1979年にSaundersらは同じく上顎無歯顎,下顎両側性遊離端欠損患者においてこれらの5つの所見に加えて,以下の6つの問題点が認められることを報告している4(図1).①咬合高径の低下②咬合平面の不均衡③下顎位の前方への変化④補綴装置の不適合⑤義歯性線維腫⑥歯周組織の変化 Saundersらは,下顎臼歯部の骨吸収により下顎遊離端義歯がうまく機能できず,咬合は前方にシフ図1a,b a:Kellyが示した5つの問題点.b:Saundersが示した6つの問題点.コンビネーションシンドロームはKellyが示した5つの問題点すべてを有する者とされており,実際にこの5つすべてを示す患者はそれほど多くないという報告がある.
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