小関亮介The Concept for Successful Treatment of Dentin Caries;Clarification of Removal Criteria and Methods of Using Instruments100沖縄県開業 那覇みなみ歯科クリニック連絡先:〒902‐0074 沖縄県那覇市仲井真373Ryosuke Ozekiキーワード:象牙質う蝕,象牙質う蝕の除去方法,感染層,影響層,健全層 象牙質に到達したう蝕治療の目的は,①感染層(う蝕関連細菌)の除去,②実質欠損の回復,③再感染の防止である. 従来のう蝕治療では,“削って詰める”方法が主流で,たとえば健康保険適用の金属で製作されたMODインレーによる修復などが行われてきた.しかし,この修復法は金属の腐食やセメントの溶解などの問題1,2,あるいはクラックや破折を引き起こす可能性も報告されている3.加えて,予防拡大を含めた健全歯質の削除量が多くなることが大きな問題であると考えている. そこで現在においては,歯質の削合などによる侵襲を最小限にするMI(minimal intervention)治療4が提唱され当院でも取り入れている(図1). 本稿では,歯髄処置や大きな被覆が不要な象牙質に及ぶう蝕治療の症例において,MI治療を行うためのう蝕除去法に焦点を当てていく.そのなかでも,MI治療においてポイントとなる術野が狭いことに対処するために,“明確なう蝕除去目標の立案”と,目標を実現するために必要な“器具とその使用法”に焦点を当てて解説していく. う蝕は細菌の代謝活動に起因する疾患であり,感染した象牙質はとくに多量の細菌を含んでいる.この細菌を効果的に除去することは,象牙質う蝕治療の基本的かつ重要なステップである. また,歯髄壊死を防ぐという観点からも重要だといえる.①象牙質う蝕の構造 治療を行う前に,まずは象牙質う蝕の構造を整理してみる.象牙質う蝕は,著しく脱灰が見られ細菌感染している感染層(う蝕象牙質第1層〔外層〕)と,脱灰はあるが非感染である影響層(う蝕象牙質第2層1)象牙質う蝕の構造と除去の考え方the Quintessence. Vol.43 No.6/2024—1210はじめに明確なう蝕除去目標の立案象牙質う蝕治療を成功 させるためのコンセプト除去基準の明確化と器具の使用方法
元のページ ../index.html#7