Protect Teeth with OverlaysPart3. Adhesion (IDS, DME)168大谷恭史連載目次(予定) 第1回(2月号) オーバーレイ概論 第2回(4月号) オーバーレイの適応症例 ▶第3回(6月号) オーバーレイの心臓部“接着” 第4回(8月号) オーバーレイの形成・印象 第5回(10月号) オーバーレイの装着・仕上げ はじめに歯とコンポジットレジンとの接着大阪府開業 DENTAL OFFICE OTANI連絡先:〒530‐0012 大阪府大阪市北区芝田2‐2‐1‐3FTakafumi Otaniキーワード: オーバーレイ,immediate dentin sealing(IDS),deep margin elevation(DME) 前回(4月号)は,オーバーレイがどのような症例に対して適応されるべきかについて解説した.今回は,オーバーレイを成功に導くもっとも重要な要素の1つである「接着」について解説したい. 補綴・修復装置を歯に対してコンポジットレジン(またはレジンセメント)を用いて接着する場合,2つの接着界面を考える必要がある.1つは「歯とコンポジットレジンの接着界面」であり,もう1つは「補綴・修復装置とコンポジットレジンの接着界面」である.それぞれの接着が適切に得られることで三位一体となり,良好な長期予後が得られる. 本稿では,歯とコンポジットレジンの接着に焦点を絞って,いかに良質な接着を臨床的に得るかについて解説する(補綴・修復装置との接着については,第5回において解説予定である). 歯とコンポジットレジンとの接着を考える際に,無機質を多く含むエナメル質と,有機質を多く含む象牙質を別々に考える必要があることは周知の事実である. エナメル質に対する接着に関しては,1955年にBuonocore1によって報告されたリン酸エナメルエッチングを発端にさまざまな研究がなされ,今日に至ってはほぼ確立されたと言っても過言ではない.ハイドロキシアパタイトの結晶構造から成り立っているエナメル質をリン酸によってエッチングすることで,カルシウムリン酸塩が溶解して微細な凹凸構造が生じ,その凹凸構造に対する機械的嵌合を得ることができる(図1).適切に処理されたエナメル質とレジンとの接着は非常に強固であり,長期的に信頼性の高い結果が得られる. 象牙質に対する接着は,1950年頃にスイスの科学the Quintessence. Vol.43 No.6/2024—1278隔月連載オーバーレイで歯を守ろう第3回オーバーレイの心臓部“接着”
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