ザ・クインテッセンス 2024年10月号
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スレッド部本稿で解説する主なTADs植立において考慮すべき解剖学的構造TADsの種類源として利用することを目的に,歯槽骨あるいは顎骨に単体または複数本で植立されるインプラントの総称である6.TADsのうちスクリュー形状のものは,アンカースクリューとも呼ばれ,粘膜外に露出したヘッド部が矯正力適用のための固定源となる. 矯正歯科治療においてTADsを植立する目的には,① より強い固定源を求めるとき,② 大臼歯の近心移動やアップライトなどのダイナミックな移動をともなうとき,③ 治療をシンプルにするためのバイオメカニクス(生体力学)を考慮した治療を計画するとき,④ 残存歯固定源のアンカレッジロスを起こしてしまう可能性が予測されるとき(とくにアライナー矯正後上歯槽動脈前上歯槽動脈オトガイ動脈が挙げられる7.近年では,複数のTADsにより口蓋粘膜上にプレートやスライダーなどの構造を装着し,矯正力適用の固定源とするシステムも使用されている.セルフタッピングセルフドリリング図1 TADs植立部位は,歯槽堤だけでなく上顎および下顎骨の基底骨となる場合があるため,周囲の解剖学的構造への理解がより求められる.図2 TADsはスレッド部の形状により,セルフタッピング(スレッド部形状が円柱状,左)と,セルフドリリング(スレッド部形状がテーパー,右)とに分類される.歯科治療を計画する場合に考慮が必要),the Quintessence. Vol.43 No.10/2024—2117512)TADsの形状と大きさの種類 TADsには,スレッド部の形状によりセルフタッピング(スレッド部形状が円柱状)とセルフドリリング(スレッド部形状がテーパー)の2つに大別される8(図2).TADsのスレッド部の直径(太さ)は,どちらも1.2mmから2mmがあり,TADsの長さは4mmから12mmがある6.

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