小島美樹梅花女子大学看護保健学部口腔保健学科連絡先:〒567‐8578 大阪府茨木市宿久庄2‐19‐5Health Consequences of New Tobacco Products and Tobacco Cessation in Dental Practices66Miki Ojimaキーワード:加熱式タバコ,電子タバコ,歯科簡易禁煙支援 今年3月,すべての新幹線から喫煙ルームが消えた.日本の喫煙率は約50年間にわたって減少傾向にあるものの,新型タバコ,とくに加熱式タバコの流行が禁煙推進の新たな障壁となっている.歯科でも禁煙関連10学会が合同で見解1を発表するなど,対応の動きが広がっている.筆者が本誌で新型タバコについて報告2してから4年が経過した. 本稿では,新型タバコの健康影響に関する最新情報を解説するとともに,新型タバコへの対応も含めた簡易禁煙支援についても紹介する.1)喫煙率の推移と現状(図1) 厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)3によると,日本の喫煙率は男女計16.7%である.男性の喫煙率は減少傾向が続き27.1%であるが,諸外国と比べていまだ高い水準にある.一方,女性の喫煙率は10%前後を推移しながら,横ばいからやや減少傾向になり7.6%である.年齢階級別にみると,男性の30~50歳代では30%超,女性の40~50歳代では10%超と喫煙率が高い年齢層が存在している.2)新型タバコの使用実態 日本では,新型タバコのうち加熱式タバコ使用者が,2016年から2019年にかけて急増した4.国内のタバコ販売数量をみても,紙巻きタバコが減少の一途をたどる一方で,加熱式タバコは逆に増加を続けており,その販売シェアは2021年に3割を超えた(図2).国民健康・栄養調査(2019年)3によると,喫煙者の4人に1人(男性27%,女性25%)が加熱式タバコを使用しており,そのうち紙巻きタバコとの併用者が1/4を占める(図3).とくに男性では30~40歳代(40~50%),女性では20~30歳代(50%)の使用割合が高い.一方,インターネット調査によると電子タバコ使用者は2.4%と海外と比較して少ない5.中高生においても新型タバコの使用がみられ,ゲートウェイ効果(紙巻きタバコの入り口となる)が危惧されている6.the Quintessence. Vol.43 No.10/2024—2132全身・口腔への影響の最新情報から禁煙支援まで特 集 3歯科で新型タバコにどう対応する?はじめに1.日本における喫煙の現状
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