『イノベーション・オブ・ラミネートベニア』出版記念特別企画大河雅之東京都開業 代官山アドレス歯科クリニック連絡先:〒150‐0034 東京都渋谷区代官山町17‐1‐301 臼歯部に対するⅠ級窩洞の修復に関しては,コンポジットレジン直接修復が多く用いられ良好な結果が得られている1(図1).一方,臼歯における歯冠色陶材を用いた間接法オクルーザルベニアの臨床は,文献的には1988年に酸蝕症に対する修復処置に応用され症例報告2されており,その歴史は古い.筆者における最初のオクルーザルベニアの臨床応用は2002年のことで,アンサポーテッドなポーセレンインレーの破折症例に対して同じくポーセレンを焼成して製作した(図2).これらの処置については,2003年にMagne Pら3がストレス・ディストリビューション試験を行い,その妥当性について発表している. また,2000年のFDI(国際歯科連盟)ではMI(Minimal Intervention)の概念が初めて提唱された4.当時はすでにう蝕の進行過程が解明されており,また接着性修復材料が発展してきたことにより,それ以前のBlack GVによる窩洞の予防拡大の概念が見直されて,可能なかぎり最小の侵襲で治療目標を達成するというMIのコンセプトが歯科治療において非常に重要な位置を占めるようになっていった. 書籍『イノベーション・オブ・ラミネートベニア』(筆者・著,小社刊.以下,書籍)のChapter2で示したとおり,2002年に,ジュネーブ大学のPascal Magne先生が『Bonded Porcelain Restorations』(Chi-cago: Quintessence Publishing)という書籍を出版した.本書籍の日本語訳版は,日本臨床歯科学会の山﨑長郎理事長,日髙豊彦先生(神奈川県開業),瀬戸延泰先生(神奈川県開業),植松厚夫先生(東京都開業)らによって翻訳・出版され,日本にもラミネートベニア修復が大きく認知されることにもなった.それまでのクラウン・ブリッジの補綴治療とくらべ,MIコンセプトに則った接着性ラミネートベニア修復が非常に合理的であることがこの本の中でも証明されている. ラミネートベニア法が確立されてからのマテリアルの変遷については,開発当初より「Etched The Classifications of Posterior Laminate Veneer Tooth Preparation86Masayuki Okawaキーワード: オクルーザルベニア,低侵襲,接着,トゥースプレパレーションデザイン,モノリシックレストレーション,バイオメカニックス,トゥースフレクシャーコントロール,デジタルデンティストリー 本企画は,2024年9月発売の書籍『イノベーション・オブ・ラミネートベニア 20年の臨床と研究が示す価値』(大河雅之・著,小社刊)から,「Chapter6 臼歯部ラミネートベニア形成デザインの分類」の内容を一部改変・抜粋して紹介するものです.全7Chapterにわたり,ラミネートベニアの過去・現在・未来を網羅した1冊.ここに掲載されていない臨床写真も多数掲載しておりますので,ぜひ,同書をお手に取ってお確かめください. (編集部)the Quintessence. Vol.43 No.10/2024—2152はじめに臼歯部ラミネートベニア形成デザインの分類
元のページ ../index.html#7