新聞クイント2009年5月(お試し版)
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第161号 2009年5月10日(日)3News今月のニュース今月のニュース保険の窓南カリフォルニア大学の歯学部学部長にAvishai Sadan氏が就任8月1日よりUSC歯学部学部長に就任するSadan氏。 3月17日(火)、南カリフォルニア大学(以下、USC)はAvishai Sadan氏(ケースウェスタン大学歯学部総合診療部教授)を2009年8月1日よりUSC歯学部学部長に招聘すると発表した。 Sadan氏は、イスラエル・エルサレムにあるヘブライ大学ハダサー校歯学部を卒業後、同校の顎顔面補綴科および口腔医学科で研修医として勤務。その後、アメリカに渡りルイジアナ州立大学歯学部で補綴学を専攻。審美補綴およびインプラントに関する特別研究員となった。 その後、ケースウェスタン大学歯学部教授に着任してからは、同部の修復学講座と総合歯科学講座を総合診療部として併合。さらに、現代の補綴・修復法に沿う合理的なカリキュラムとすべく、臨床前実習および臨床実習のすべてのコースを改革した。 同時に、研究者としては、生体材料、補綴学(インプラント、クラウン・ブリッジ、審美)に関する研究、論文を国内外で多数発表。さらに小社のインターナショナルグループであるQuintessence Publishing Co.,Inc(米国・シカゴ)が出版する「QI(Quintessence International)」(多国語版・年10回発行)および「QDT(Quintessence of Dental Technology)」(英語版・年1回発行)2誌の編集長を昨年まで務めるなど、その手腕は内外で高く評価されている。 なお、Sadan氏は本年6月5日から8日に国立京都国際会館で行われる、第118回日本補綴歯科学会(佐々木啓一理事長、矢谷博文大会長)で7日に特別講演を行う予定。 さらに、2010年10月8日から10日に行われる第6回日本国際歯科大会(小社主催)への登壇も予定されており、今後ますますの活躍が期待される。 先日、読者から以下のようなお便りをいただいた。 「5歳児のDがPulで抜髄・根充を行った際にEMRを行い算定したところ、『乳歯に対するEMRの算定について』として返戻されました。そこで、『5歳児で交換期ではなく歯根の吸収もなく云々』と摘要欄に記載し再提出しました。ところが、EMRが査定され、『乳歯にEMRは算定できません』と書かれた審査結果通知書とともに増減点連絡票が届きました(要約)」とのことである。 ご本人に連絡をとったところ、再提出したレセプトのコピーとともに通知書も送ってくださった。 私見ではあるが、①EMRは、歯根未完成あるいは交換期で根の吸収が始まっている歯ならともかく、一般的には乳歯においても有効な検査と考えている②根管長の測定を行うにあたって、とくに上顎の乳臼歯は3根が大きく開大しているため、X線による測定は困難と考えられる③リーマーなど使用時の手指の感覚による前時代的な方法も乳歯には通用しがたい④さりとて、確実な根管長測定を行わずしてリーマーや薬剤等の根尖外突き出しを惹起した場合、後継永久歯に対する為害は看過できない⑤保険における取り扱いにおいて疑義解釈等により、検査を行っても算定できない旨の記載は記憶にない。 以上のことから、当然乳歯においてもEMRの算定は可能と考える。また、審査委員個人の誤解または偏見による返戻・査定は時としてあるとは思われるが、審査結果通知書による算定不可の通知は重大と考える。日本小児歯科学会および日本歯内療法学会はどのようなお考えをお持ちなのかおうかがいしたい。(お茶の水保険診療研究会:Y・S)乳歯の治療についてQDT購読キャンペーン講演会「いまさら聞けない補綴治療」名古屋会場も大盛況となる 3月15日(日)、明治安田生命名古屋ホール(愛知県)にて、「QDT講演会 『いまさら聞けない補綴治療』」(第7回)が開催された(小社主催)。以下に、各演題の概略を示す。(1)「咀嚼サイクルを考慮したインプラント補綴」(高嶋秀隆氏、愛知県開業) 高嶋氏は若手聴講者に向け、みずからの学びの過程を示し、「今後は日本でもインターディシプリナリーが主流になるだろう。よって、『1つの分野を究める』目標をもとう」とメッセージを送った。また、インプラントによる多数歯補綴症例を供覧し、治療計画や術後の咀嚼機能の評価を行った。(2)「実践! 若手歯科医師のための歯冠修復マニュアル まずはここから 特別編:いまさら人に聞けない咬合採得・咬合調整」(萩原芳幸氏、日本大学歯学部歯科補綴学教室3講座准教授) 萩原氏はまず、「補綴治療では治療用の顎位を正しく理解・選択する」ことが重要とし、とくに中心位の定義や誘導方法について詳説した。さらに、咬合調整の目的・方法も詳説した。(3)「失敗しないコンポジットレジン直接修復 ―審美的・機能的予後を確実にするために―」(高橋 登氏、東京都開業) 高橋氏はまず、高い審美性・予知性をもつコンポジットレジン直接修復を実現するための窩洞形成や材料、症例選択について解説。同時に、氏が提唱する「3Dレイヤリングテクニック」についても詳説した。(4)「失敗症例に学ぶインプラント修復」(小濱忠一氏、福島県開業) 小濱氏は、インプラント治療の失敗しやすいポイントや解決法を示したうえで、①的確な診断能力をもつこと、②①にもとづいた治療戦略の立案、③歯科技工士とのコラボレーション、の3点が重要であるとした。 なお、本講演会は4月19日(日)の金沢会場(石川県)で最終回となる。ITX Implant Summit 2009約900名の参加者を集め盛大に開催 3月20日(金)、グランドプリンスホテル新高輪(東京都)にて、ITX Implant Summit 2009(株式会社インプラテックス主催)が「PIEZOSURGERY®その理論と実際―さらなるMIと審美を求めて―」をテーマに、参加者約900名を集め盛大に開催された。 午前の部では、Tomaso Vercellotti氏(UCL Eastman Dental Institute名誉教授)が、自身の開発したピエゾサージェリーを応用した自家骨採取、スプリットクレスト、抜歯などの手技を解説した。さらには、最新のトピックとしてピエゾサージェリーによるインプラント埋入窩の形成法について紹介し、会場の関心を引いた。 午後の部では、椎貝達夫氏(東京歯科大学臨床教授)が、自身の開発した器具を用いた骨幅拡大の術式や、審美症例におけるジルコニアアバットメントの有用性について解説した。 引き続き、小川勝久氏(東京都開業)はピエゾサージェリーを用いた骨切り、骨形成、不良インプラントの撤去などについて、症例を供覧しながら詳説した。 また、白鳥清人氏(静岡県開業)は、審美領域のインプラント治療について、インプラントポジション、硬・軟組織のマネージメント、補綴設計を適切に行うことの重要性を強調するとともに、ピエゾサージェリーを用いたベニアグラフト症例を動画を交えながら紹介した。 最後は春日井昇平氏(東京医科歯科大学教授)が、総括としてインプラント治療の将来展望を述べ、会を締めくくった。 本会は、過去の大会を大幅に上回る聴講者が参集し、ピエゾサージェリーをはじめとしたインプラント関連器材に対する注目度の高さがうかがえるサミットとなった。ディスカッションでコメントする小濱氏。PIEZOSURGERY®の開発者である Vercellotti氏。

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