新聞クイント2009年11月(お試し版)
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第167号 2009年11月10日(火)3News今月のニュース今月のニュース保険の窓日本再生歯科医学会第7回学術大会を開催日本歯科衛生学会第4回学術大会を開催1,300名以上が参加し、盛況となる㈳日本口腔インプラント学会第39回学術大会を開催過去最多となる4,000名が参集次期点数改正にむけて(その5) 9月12日(土)、九州歯科大学講堂(福岡県)において、第7回日本再生歯科医学会学術大会(寺下正道大会長、𠮷山昌宏会長)が「歯と骨の再生―生体材料・細胞誘導・サイトカイン―」をメインテーマに盛大に開催された。 シンポジウム(1)「歯・歯周組織の再生」(西原達次座長、九州歯科大学教授)では、加藤幸夫氏(広島大学教授)が「無血清培地で活性化した間葉系幹細胞による再生治療」と題し、血清採取が困難な患者に対しての無血清培地の有効性を訴えた。 つぎに、北村知昭氏(九州歯科大学准教授)が「象牙質─歯髄複合体の局所的再生」と題し、残存歯髄からの歯髄再生と感染制御を解説。さらに吉江弘正氏(新潟大学教授)が「上皮シートによる歯の再生と骨膜シートによる歯周組織再生」と題して講演。とくに、骨膜シートはすでに臨床応用されている段階にあることを述べ、今後は一般歯科医院へ向けての簡便なシステムを開発中とのこと。また、シンポジウム(2)「顎骨の再生」(冨永和宏座長、九州 9月19日(土)から21日(月)の3日間、大阪歯科大学(大阪府)において、日本歯科衛生学会第4回学術大会(永井るみこ大会長、武井典子学会長)が開催され、1,300名以上が参集した。 今大会は「歯の健康力 フロンティア―食べる、話す、生きる力を支える口腔機能―」をメインテーマに、20日には特別講演やシンポジウム、また21日には教育講演や市民フォーラムが行われた。これに加え2日間で10セクションの口演発表、19セクションのポスター発表が行われ、充実した内容の学術大会となった。また19日には5つの自由集会を設け、参加者同士の活発な議論の場が提供された。 花田信弘氏(鶴見大学教授)による特別講演「口腔機能とメタボリックシンドローム」では、今年7月に厚労省・歯科保健と食育のあり方に関する検討会で提唱された、食育推進のための「噛ミング30」(う蝕や歯周病の改善を主眼とした対策に加え、食べ方支援など食育へのかかわりや高齢者の誤嚥・窒息防止に重点を置いた対応として、食物をひと口30回以上噛むこと)の話題や研究結果を示しながら、咬合力と摂食機能、また歯周病と肥満・全身疾患との関係が、さまざまな視点から見ても確かなものであることを示した。 またシンポジウム「ライフステージからみた口腔機能の向上」では、「発達期」「学齢期・青年期」「成人・高齢期」の各ステージに分かれ3氏が登壇した。そのうち「学齢期・青年期」を担当した高橋未哉子氏(歯科衛生士)は、口腔機能と咬合・歯列が密接に関係することから、成長期の患者に対する効果的なMFTの実例を写真と映像を交えて講演した。 なお次回は2010年9月に国際能力開発支援センター(千葉県)にて開催予定である。開会式で登壇する武井典子学会長。開会の挨拶を行う𠮷山昌宏会長。歯科大学教授)では、春日井昇平氏(東京医科歯科大学教授)、自見栄治郎氏(九州歯科大学教授)、日比英晴氏(名古屋大学准教授)がそれぞれ登壇した。 さらに特別講演として、「バイオマテリアルからみた再生誘導治療と幹細胞生物医学研究」と題するテーマで田畑泰彦氏(京都大学教授)が、「次世代歯科医療を目指した歯の再生研究の進展」と題するテーマで辻 孝氏(東京理科大学教授)がそれぞれ登壇。歯科に限らず、基礎的研究とその成果が、現在の再生医療とどのようにつながっているのか、さらには歯科界の研究者とどのような連携を行っているかについて、それぞれ解説した。 9月25日(金)から27日(日)の3日間、大阪国際会議場にて、第39回社団法人日本口腔インプラント学会・学術大会(市川哲雄大会長、川添堯彬理事長)が、国内外より過去最多となる4,000名以上の参加者を集め盛大に開催された。 本会は「インプラント治療における医療安全・安心」というメインテーマのもと、基調講演、特別講演、シンポジウムなどが行われたほか、歯科技工士セッション、歯科衛生士セッション、各企業によるランチョンセミナーが併催されるなど、幅広く充実した内容となった。 25日のワールドサテライトセミナーⅠでは、Peter K. Moy氏(米国開業)、専門医教育講座では、新井高氏(鶴見大学教授)による講演が行われた。 26日午前のシンポジウム1では、伊東隆利氏(熊本県開業)、辻本好子氏(NPO法人ささえあい医療人権センター COML)、阿部成善氏(大分県開業)が登壇。続いて、川添理事長による基調講演が行われた。午後に行われた教育セミナー臨床系2では、菅井敏郎氏(東京都開業)、堀内克啓氏(奈良県開業)、高橋 哲氏(九州歯科大学教授)、藤澤健司氏(徳島大学教授)らによる示唆に富んだ講演が行われた。 27日午前の教育セミナー臨床系3では、川口和子氏(静岡県開業)、木村洋子氏(北海道開業)、桑鶴利香氏(九州大学)、石川詔子氏(愛媛大学)らによる講演が行われた。また、特別講演では、Karl-Ludwig Ackermann氏(ドイツインプラント学会)による講演が行われ、いずれの会場も盛況となった。 なお、第40回学術大会は、2010年9月17日(金)から19日(日)、札幌コンベンションセンター(北海道)にて開催される予定である。開会の挨拶を行った市川哲雄大会長。 前号では、新医療費体系が創設された昭和33年以降の点数改正率を積算すると1点40.65円となると書いた。そこで、昭和33年当時の主な項目の点数と4.065倍した値、現行の点数の値を以下の表に示す。単位:点昭和33年4.065倍現行初診料1873182普通処理52016抜髄833220根充93768抜歯(臼)2185260切開2081180暫間固定60244330歯根端切除1004071,350 上表をご覧になって驚かれる諸兄が多いと思う。普処(う蝕処置)を除いて現行点数の方がはるかに高い点数となっている。にもかかわらず現行点数でも原価主義より乖離し、不採算になっている。このことは点数の改正幅があまりにも小さすぎたことを意味する。ちなみに、この間の実質GDPや大卒初任給はそれぞれ16倍、15倍となっている。 このような差異を生じた原因は、点数改正の際に医療経済実態調査における医療機関の収支差額の増減と社会の諸統計とを比較したことによる。この比較によると、いわゆる自然増や労働強化による収支差額の増、収入減に対処する人員の削減、経費の削減、労働強化による収支差額の維持は改正幅を抑制する力に働くのである。 すべての項目を精査、評価しなおした後、改正幅を社会の諸統計と直接連動するようにしなければ現状の改善は見込めないであろう。1点単価の変動制はその後の話しである。(お茶の水保険診療研究会:Y・S)

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