新聞クイント2011年2月(お試し版)
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2011年2月10日(木) 第182号2 今月のニュース資 料EAO初のCertificate試験に合格した中居伸行京都府開業、EAOインプラント認定医「真のスタンダード」を知る仲間が増えることを期待したい さる2010年10月、グラスゴー(スコットランド)において、第19回European Association for Osseointegration(以下、EAO)Annual Scientific Meetingが開催され、EAO初となるCertificate試験が実施された。本欄では、難易度が高いといわれた本試験にみごと合格し、インプラント認定医の資格を取得した歯科医師である中居伸行氏(京都府開業)に、今回の総括を行っていただくとともに、今後、中居氏と同様に認定試験に挑戦するであろう歯科医師に対するメッセージをうかがった。中居:今回の試験では10名が書類選考となり、そのうちDr. Lennart Dageborn(スウェーデン)、Dr. Joao Tondela(ポルトガル)、高梨芳彰氏(東京都開業)と私の4名が合格しました。 選考は3段階からなり、まずは書類選考が行われます。委員会が指定した各種症例6ケースを様式に沿って作成、提出します。また、インプラント学に関する250時間以上の理論および実技のトレーニング歴などが問われ、書類が受理された志願者には学会2、3日前の試験日時が指定されます。 つぎに筆記試験が行われ、試験時間220分のなかでインプラント学に関する広範な内容が選択形式で80問出題されます。補綴、外科、歯周病などインプラント臨床に直接かかわる内容に関しては比較的容易に回答できましたが、解剖、薬理、病理、放射線、医学統計、歯科理工など基礎に関して広範にわたって出題され、回答が難しいと感じました。 最終選考は翌日行われ、書類選考の際に提出した6ケースの中から2ケースがピックアップされ、試験官3名に1時間にわたってプレゼンテーションにともなう質問を受けました。最終選考は、インプラント治療に関して高い技術を見てもらうというよりは、1つ1つの治療ステップに対して科学的知識および根拠に基づいてどのように治療計画を立案したのかが合否を左右したのではないかと思っています。 本大会を通して、各セッションにおける教育的内容や、若手臨床家の育成【プロフィール】1992年、広島大学歯学部卒業。1996年、広島大学大学院 歯学研究科歯学臨床系専攻卒業。広島大学歯学部第2補綴科助手、広島大学歯学部附属病院義歯・インプラント診察室外来医長などを経て、2008年、なかい歯科御所南ほてつインプラントセンター開設。2010 年10月、European Association for Osseointegration(EAO)認定医取得。組織であるJunior Committeeの立ち上げなどが見られ、EAOが「教育」「啓蒙」というフィールドに真っ向から取り組もうとしている様子がうかがえました。 本試験の準備には労力を要しましたが、非会員にも門戸が開かれていますので、日常臨床の知識や技術を世界基準による客観的評価で確認したいと考える日本の先生方はぜひチャレンジしていただきたいと思います。また、今回の試験を通じて、何より受験自体が大きな刺激となり、世界でも通用するインプラント治療を提供するための自信につながりました。今後、こうした経験を経た「真のスタンダード」を知る仲間が増えることを期待しています。 今月のニュース開会の挨拶を述べる江藤会長。 1月8日(土)、歯科医師会館において、第27回「歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い」(日本歯科医学会主催、江藤一洋会長)が開催された。本集いは、学際的交流を通じ、新しい研究分野の開拓と研究組織の結成を推進すること、また臨学一体の具現化を目的として毎年開催されている。 午前の部では、5題の講演が披露されるなか、唾液腺と全身との関連性に注目した槻木恵一氏(神奈川歯科大学病理学分野・唾液腺健康医学研究室)による「唾液腺産生物質の全身への影響についての研究―唾液腺健康医学の確立を目指して―」や、高齢者の健康やQOLの向上に寄与することが期待される田村宗明氏(日本大学歯学部細菌学教室日本大学総合歯学研究所生体防御部門)による「カテキンジェルの口腔微生物叢に及ぼす影響と要介護高齢者の口腔ケアへの応用」などの講演が行われた。 午後の部では、有坂岳大氏(東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座)による「地域医療連携を基盤とした閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置による治療連携システム構築のための研究」や、宮本智行氏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科麻酔・生体管理学分野)による「歯科医療の安全・安心を可視化する」の講演など、地域医療連携や医療事故防止といった現在の歯科医療現場に求められているような研究も見られた。 会場からは研究発表者に対して、終始積極的な意見やアドバイスも出され、全演題の発表修了後に行われたポスターディスカッションでは、発表者と参加者とのジャンルを超えた活発な意見交換が行われた。歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い先を見据えた研究が多数学 術 2010年12月9日(木)、文部科学省は平成22年度学校保健統計調査の結果速報を発表した。 調査対象は満5歳から17歳の幼児、児童および生徒。 う歯罹患率(処置完了者を含む)は、30年前の昭和55年度では幼稚園86.54%を除いて、小学校93.98%、中学校93.91%、高等学校95.90%と、9割を超えていたが、今回の調査では幼稚園が46.11%(40.43%減)、小学校59.63%(34.35%減)、中学校50.60%(43.31%減)、高等学校59.95%(35.95%減)と、いずれも30%から40%以上低下している(カッコ内は昭和55年度との比較)。 12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯(う歯)等数は、平成21年度から0.11本減少し、過去最低を更新する1.29本となった。なお、昭和59年度の4.75本から減少傾向となっている。 疾病・異常の被患率等別状況では、「むし歯(う歯)」は、幼稚園、小学校、高等学校においてもっとも高く、中学校では「裸眼視力1.0未満の者」につぐ順となっている。昭和55年と平成22年の学校別う蝕罹患率の割合(文科省の資料をもとに編集部作成)。95.90(%)100806040200未処置歯のある者処置完了者幼稚園86.54昭和5546.11平成2293.9859.63小学校昭和55平成2293.9150.60中学校昭和55平成2259.95高等学校昭和55平成22う蝕罹患率 30年前より30%以上低下文科省、学校保健統計調査子どものう蝕罹患率、30年後は?……子どものう蝕罹患率、30年後は?…… 絵 山香和信 絵 山香和信

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