新聞クイント2013年1月(お試し版)
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2013年1月10日(木) 第205号2者に対して適応可能②作業工程の低減により治療期間の短縮③患者の咬合状態に応じた対応が可能④材料の価格に変動がなく安定した供給が可能――が挙げられる。 現在の歯科治療では、臼歯部1歯欠損に対するブリッジ療法は、咬合力に対する機械的強度を担保するために歯科用金属を用いた治療が行われているが、材料となる金や銀、パラジウムなどの市場価格の変動によって影響を受ける問題があったため、日本歯科医師会や歯科材料メーカーとともに代替材料の開発が進められていた。 11月28日(水)、中央社会保険医療協議会総会において、歯科分野の先進医療技術として「金属代替材料としてのグラスファイバー補強高強度コンポジットレジンブリッジの治療技術」が承認された。 適応症は、臼歯部1歯中間欠損に対して両隣在歯を支台歯とした3ユニットブリッジとなる。本技術の特徴として、①金属アレルギーを有する患 実施責任者の要件は、補綴専門医の資格を有する歯科医師で経験年数5年以上、当該技術の経験年数1年以上、経験症例数5例以上。医療機関の要件は、歯科衛生士および歯科技工士が配属されていること、医療機関として当該技術の実施症例数5例以上など。 本技術の治療費は、保険給付されない費用は36,000円、保険給付される費用は14,000円。本技術を評価した先進医療会議では、将来的に保険収載を行うことが妥当としている。Stomatologyの必要性を発信する臨床家筒井照子日本包括歯科臨床学会顧問口腔から全身を診ることができるStomatologistの育成に貢献したい 「炎症と力のコントロール」の概念を提唱し、優れた臨床歯科医を輩出してきた「筒井塾」。このたび同塾の2つの卒後勉強会が統合され「日本包括歯科臨床学会」が設立された。本欄では故・筒井昌秀氏とともに包括歯科臨床の必要性を発信し、同学会顧問に就任した筒井照子氏に、これまでの活動の軌跡を振り返っていただくとともに、学会設立への想いをうかがった。筒井:まずは、筒井塾の一環として活動してきたJACD(Japan Academy of Comprehensive Dentistry)設立20周年と咬合療法研究会設立10周年となる節目の年に2つの研究会を統合し、日本包括歯科臨床学会が設立されることになったことに対して、これまで私たちの活動を支えていただきました歯科医療関係者の皆様に感謝申し上げたいと思います。 私の考える歯科医療とは、顎口腔系の病態を診断して原因を探し、取り除けるものは除き、生体の治癒能を引き出した後、的確な修復処置を行うことです。これまでの歯科医療は歯科修復学(Dentistry)が中心でした。炎症については医療としての体系が確立されていますが、機能は病態を探して診断するという口腔医学(Stomatology)の体系が十分ではなかったと思います。筒井塾のJCADと咬合療法研究会においてもどちらか一方に偏重していました。 予防歯科の普及と歯科材料・技術を含めた歯科修復学の発展によって、患者さんの歯を残せるようになったことは、国民の健康に寄与しているといえますが、一方で近年では生活習慣病を中心とした疾病構造の変化にともない、歯科臨床における機能はもはや軽視できない時代となってきています。 そのような意味で今回の学会設立は、包括歯科臨床において車の両輪といえるStomatologyとDentistry双方の領域を見つめ直すことができる場所になるのではないかと思っています。また、最近では口腔と全身の健康の関係性が明らかにされつつありますので、口腔から全身を診ることができるStomatologistの育成に貢献したつつい・てるこ1970年、九州歯科大学卒業。1975年までの5年間、同大学矯正学教室に在籍。1975年、北九州市八幡西区にて開業。日本矯正歯科学会専門医 認定医。筒井塾・JACD・咬合両方研究会主宰。2012年、日本包括歯科臨床学会の設立とともに同学会顧問に就任。現在に至る。いと考えています。昌秀とともに活動してきた研究会が学会に発展したことは、このうえない喜びである反面、これからは学会としての責任が問われることになります。今後は、会員の先生方のさらなるレベルアップに寄与できるような学会づくりや運営を考慮していかなければならないと思っています。 最後に、年末のたいへんお忙しい時期にもかかわらず12月15日(土)、16日(日)に開催させていただきました第1回記念総会には、全国各地から500名の歯科医療関係者にご参加いただき、学会の船出にふさわしく盛会となりました。今後とも学会の発展にご協力くださいますようお願い申し上げます。金属代替材料による歯科技術、先進医療に導入中医協総会2013年の歯(視)界は良好か…… 絵 山香和信利産業化につながる政策への反対と、医療に関する消費税問題の解決について、政府へ要望していく決議文が採択されたことを報告した。 また、堀 憲郎常務理事より、さる11月13日(火)に医療関係7団体(日本医師会、日歯、日本薬剤師会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)で厚生労働大臣に提出した要望書について、さる10月31日(水)に開催された中央社会保険医療協議会(以下、中医協)において提出した資料をもとに説明がなされた。要望書では、医療において消費税が非課税であることによって発生する「控除対象外消費税問題」の解決について、中医協の下に設置された「医療機関等における消費税負担に関する分科会」とは別に、政府税制調査会などで社会保険診療に対する消費税の課税のあり方について検討する場が必要であるとされている。 大久保会長は、総会で出された意見を踏まえて「たとえ最終的には課税となったとしても、ゼロ税率を目指していく」と述べ、小規模医療機関への配慮も含めて三師会で足並みを揃えていくことを強調した。国民医療推進協議会、決議文を採択日歯定例会見 11月15日(木)、歯科医師会館において日本歯科医師会(以下、日歯、大久保満男会長)による定例記者会見が開催された。 冒頭の挨拶で大久保会長は、医療関係を中心に40団体で構成する「国民医療推進協議会」(横倉義武会長、日本医師会会長)の第8回総会が同日に開催されたことについて述べた。同総会では、国民医療を守るための国民運動として、きたる12月21日(金)に日本医師会館において、国民集会「国民医療を守るための総決起大会」を開催することを決定し、また、医療の営 今月のニュース 今月のニュース政 治社 会混迷する政局について述べる大久保会長。

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