新聞クイント2020年6月(お試し版)
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2020年6月10日(水) 第294号2今月のニュース政 治ケアに加えて、医学的管理の下における介護および機能訓練といった医療も提供している。そのため施設には医師が配置されているものの、要望書では「新型コロナウイルス感染による肺炎を治療する設備は整っていない」と説明。感染予防を講じるための衛生用品も不足しており、そうしたなかで陽性者のケアを続けることによる感染拡大のリスクについて強調した。 厚生労働省は4月3日に発出した事務連絡「『新型コロナウイルス感染症の軽度者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について』等の周知について」において、施設利用者に新型コロナウイルス感染症の感染が判明した場合は、原則として入院措置を行う方針を示している。 これに対し全老健は、千葉県の老健施設2施設を例に挙げ、入所者に多数の陽性者が出たにもかかわらず、病院へ入院できず入所を継続せざるを得ない現状を訴えた。また陽性者との濃厚接触などを理由に自宅待機となる職員が増えたことにより、人手不足が叫ばれる介護現場においては、残された職員たちの負担増加が深刻化している。 こうした状況をふまえ、施設内の集団感染による介護現場の混乱を阻止するためにも、陽性と診断された入所者は優先的かつ速やかに病院へ入院できるよう、各都道府県への対応の強化を求めた。 昨今、民間においても医療現場などへの支援が活発となっている。しかし感染リスクが高く、重症化しやすい要介護高齢者が多数入所している介護現場も早急な対策を必要としている。介護施設における新型コロナ感染への対応改善を要望全国老人保健施設協会今月のニュース社 会(デジタルハリウッド大学大学院客員教授、アイリス株式会社取締役副社長)によるSession1では、オンライン診療の制度や位置づけなど、遠隔医療に造詣の深い氏から解説がなされた。 引き続き、モデレーターを務めた長縄拓哉氏(日本遠隔医療学会•歯科遠隔医療分科会会長)によるSession2では、歯科医師として遠隔医療(オンライン診療)に取り組むことになった経緯や、病院や高齢者施設における歯科オンライン相談の実践について法律や制度をふまえて紹介した。 また、竹山 旭氏(大阪府開業、株式会社ノーブナイン代表)によるSession3では、小児歯科オンライン相談サービス「ブラシる」や開発中のIoT歯ブラシ「SMASH」などが紹介され、オンライン診療体制が構築されることによる歯科医院への定期的な受診勧奨や予防歯科の普及・啓発の可能性に期待を寄せた。 その後、演者らによるディスカッションが行われ、オンライン上に寄せられた質問にも回答するなど、熱い意見交換がなされて盛況となった。「いま歯科オンライン診療にできること」をテーマにTele-dentistry special online session 4月24日(金)、「Tele-dentistry special online session―いま歯科オンライン診療にできること―」(日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会主催、ムツー株式会社後援)がオンラインミーティングプログラムのZoomを使用して開催された。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、特例措置としての歯科のオンライン診療に注目が集まっていることもあり、歯科医療従事者を中心に約200名が参加した。 発起人の齊藤朋愛氏(福井県開業)による挨拶のあと、まず、加藤浩晃氏 4月21日(火)、公益社団法人全国老人保健施設協会(以下、全老健、東 憲太郎会長)は厚生労働省に対して、介護現場における新型コロナウイルス感染者の対応について改善を求める要望書を提出した。 老健施設は要介護者の在宅支援・在宅復帰を目的としており、日常生活の歯科から「食べる」を支えたい 歯科医師と医師のダブルライセンス取得者の米永一理氏(東京大学大学院イートロス医学講座 特任准教授)が2020年4月、東京大学大学院医学系研究科の新講座の代表に就任した。その講座名は「イートロス医学」ということだが、いったいどのような研究を行うのだろうか。医科歯科連携でも注目されている米永氏にお話をうかがう。米永:イートロス医学講座は、人が生きる根幹である「食べる」を支えるため、開設された社会連携講座です。「イートロス」とは食べられない状態が続くことであり、多くの国民に「食べられない」ことが続くことが好ましくないことを端的に認知していただくことを目的として、「Eating Loss」から命名しました。 イートロス医学講座では、フレイルやサルコペニアなどの加齢性変化における病態を口腔領域からアプローチし、イートロスに関する予防・診断・治療を学問として体系化し、多くの国民が健康寿命をまっとうできるよう研究、教育、臨床を実践することを目指しています。 このイートロスは、医学・歯学にまたがる病態であり、医科歯科連携が重要です。特に今後の口腔医療(歯科医療)では、う蝕および歯周病に加えて、イートロスをいかに予防し、早期発見・早期治療につなげるかが、1つの役割となると想定しています。なぜなら、イートロスが続くと悪液質(カヘキシア)となり、死につながる状態となるからです。 カヘキシアは、人の3大苦痛(①疼痛、②疾病関連うつ、③カヘキシア)の1つです。疼痛および疾病関連うつに対しては、比較的治療法があります。一方で、カヘキシアに対する治療法はまだ確立されているとは言えません。また人の3大欲求である①食欲、②睡眠欲、③排泄欲の中で、唯一食欲だけは、自分で食べられなくなった時に、だれかに介助をしてもらわない限りは満たすことができません。これらより、食べられないことが続くイートロスの苦痛をどうにかしたい思いがあり、当講座の開設につながりました。 今後、イートロスの予防・診断・治療が学問として体系化してくれば、メタボリックシンドローム、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、フレイルに続く、歯科発のキーワードとして、「8020」とともに、国民に口腔領域に関心をもっていただく役割を担えればと思います。「イートロスになることは良くないんだ」、また「イートロスになってもなんとかしよう!」、そのためにも「歯科との関係をより大事にしよう!」との機運が高まり、国民の公衆衛生活動に貢献できればと考えています。 そして、諸先輩方が大切に育ててきた歯科医療界を、今後われわれ世代が受け継いでいく必要があります。私が憧れたように、中高生が今まで以上に魅力的な職種として感じてらえるよう、輝いている歯科医療者を多く育てることができればと夢見ています。イートロス医学を研究する医師・歯科医師米永一理東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座 特任准教授よねなが・かずみち鹿児島大学歯学部卒業後、東海大学医学部卒業。博士(医学)(東京大学)。東京大学顎口腔外科・歯科矯正歯科助教、十和田市立中央病院総合内科医員、JR東京総合病院総合診療科医長、十和田市立中央病院附属とわだ診療所院長を経て、2020年4月より現職。「医療と衣料」のキーワードのもと介護服の発案(ハミングバードプルーム®)を行うなど、「食べる」を支える活動を総合的に行っている。今後の歯科オンライン診療の動向に注目したい。医療介護の現場で役立つ! パッククッキング [著]佐藤真由美災害時も!災害時も!ポリ袋とお湯があれば簡単に調理ができる「パッククッキング」のレシピ集!管理栄養士である著者が簡単にできるレシピや料理のワンポイントアドバイスを紹介!掲載メニューは全23品!Step 1切るStep 2混ぜるStep 3湯煎するStep 4盛りつけるおうち時間を有効に!期間限定で無料公開中!!おうち時間を有効に!期間限定で無料公開中!!(なお予告なく公開を終了させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください)オクラと塩麹漬け鶏胸肉の胡麻ポン酢和えオ塩塩麹麹漬けけけ鶏胡胡麻麻ポンンン酢和和ええ焼きそばオクララと塩焼焼ききそそ夏野菜カレー夏野野菜菜カカレたらのクリーム煮ららのののクリリ鶏肉入りひじきごはん入りりりひじじじき4ステップで簡単!高齢者や料理の苦手な方でも作れるレシピ234ステップで簡単!高齢者や料理の苦手な方でも作れるレシピ23●佐藤真由美:著 ●56頁 ●A5判横型 ●定価本体:2,000円(税別)無料公開ページはこちら

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