14 アライナー矯正に注目が集まる昨今の歯科界。デンツプライシロナ株式会社はさる2021年6月にデジタルアライナー矯正システム「SureSmile」を日本国内に向けて発売しました。 また、2023年2月には同社より、その保定用リテーナーと、振動型フィッティング装置「SureSmile VPro」が発売されました。 そこで、本欄では日本のアライナー矯正歯科治療の第一人者である尾島賢治先生に、臨床家の立場から見た「SureSmile」システムの特長と、アライナー矯正歯科治療の将来像について、お話を伺いました(編集部)。QUINT ORAL INFORMATION「SureSmileアライナー」、「SureSmile VPro」を実際に臨床応用されて感じられた特長をお聞かせくださいクイント・オーラル・インフォメーション 「SureSmile」では、STLデータとDICOMデータのマッチングを2008年から先駆けて導入しています。このマッチング機能により、歯冠や歯肉だけでなく、顎骨や歯根までを3Dモデル化できることが1つの大きな特長だと私は思っています。 3Dモデル化により、治療後に歯根がボーンハウジング内に収まっているか、歯根どうしが接近していないかなど、歯根の動きを見ながら視覚的に確認しやすくなります。その結果、個々の患者さんに応じた予測性の高い治療計画立案が可能となります。 さらには、リップトレース機能によりスマイルラインを評価することも可能であり、顔貌写真上でシミュレーションすることができるため、患者さんへの説明にも効果を発揮します。 スキャナーは、デンツプライシロナ社の口腔内スキャナーはもちろん、一般的に使われている他のスキャナーも使用できるので、とても便利です。SureSmileアライナーの特長:治療に合わせて選択できるトリムライン 「SureSmileアライナー」では、トリムラインが、一定の高さで歯肉を覆う “ストレートタイプ”と、歯肉縁に沿った“スカラップタイプ”の2種類から選択できることが特長として挙げられます(図1)。たとえば、レベリングやSureSmile VPro(以下VPro)の特長:振動によるアライナーのフィッティングの高まりで治療計画の予測実現性を向上 「VPro」はアライナーを正しく適合させるために、患者さんご自身が使用される振動型アライナーフィッティング装置です。この装置は「SureSmileアライナー」はいうまでもなく、他のアライナー製品にも使用することができます。 120Hzという高周波の振動を与えることで歯とアライナーが密着して正しく適合するので、アライナー本来の矯正力が発揮されて、その結果、予測実現性が上がると思います。そして、そのことがリファインメントの数を減らすことになります。これによって、治療開始当初に立案した治療計画の実現性を向上させることができ、また、治療期間の短縮にアップライトなど大きな移動をともなう治療の序盤にスカラップタイプ、細かい調整やトルクを加えたいときはストレートタイプというように、ステージごとにトリムラインを変更することも可能になります(図2)。ある論文では、これら2種のトリムラインはストレートタイプのほうが歯の保持性に優れているという結果がでており、このことから、実際の臨床でもアタッチメントを減らせる可能性を体感しています。審美性を気にする成人やエッチングをさせたくない子どもの治療において、ストレートタイプのほうが有効であると考えます。 また別の論文ではストレートタイプのほうがスカラップタイプよりも歯頚部への適合が良く、大きな矯正力がかかると報告されています。歯頚部にグリップさせてしっかりトルクを加えたいステージや、細かい調整が必要なステージなどでストレートタイプを選択することは「SureSmileアライナー」による治療において非常に有効であると考えられます。歴史に裏打ちされた信頼感のあるブランド「SureSmile(シュアスマイル)」デジタルアライナー矯正システムの1Q1つとして「SureSmile」の臨床的な所感をお聞かせください患者さんにすばらしい治療体験を提供デンツプライシロナのデジタルアライナー矯正システム「SureSmile」と「VPro」の可能性尾島賢治 Kenji Ojima医療法人スマイルイノベーション理事長日本アライナー矯正歯科研究会代表Q2
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