クイントオーラルインフォメーション2024
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2つの大きな岐路に立つ22尾島賢治が語るアメリカ矯正歯科学会2023年Winterカンファレンス(ネバダ州・ラスベガス)のテーマは「Revolutionize Your Practice with 3D Printing(3Dプリンティングで診療に革命を起こす) 」で、3Dプリンタによるダイレクトプリントとインハウスアライナー(院内の歯科技工室や診療室で行うアライナー矯正治療システム)の話題のみについて開催されました。学会でアライナー矯正治療がテーマ新型コロナウイルス感染症の流行を境にして、世界は大きくシフトしました。デジタルインハウスアライナーがこの時期に大きく発展したのです。しかし、毎回3Dプリンタで模型を製作しシートを圧接するというステップが必要になるため、大量に模型が破棄されるという環境的なデメリットがありました。ところが、韓国・Graphy社が提供する形状記憶機能をもつ3Dプリンティング用レジンTera Harz TC-85DACを用いれば、このステップが必要なくなり、直接アライナーをプリントできるようになります。そのため私は、ほとんどのアライナーをこのTera Harz TC-85DACを用いた形状記憶アライナー(シェイプメモリーアライナー:SMA)に変更しました。本製品は、このたび日本でも管理医療機器(クラスⅡ)として2024年2月に厚生労働省より認可を受けました。日本の歯科界にお3Dプリンタ、アライナー材料まで、以前とは比べものにならないほど精度が上がり、進歩し、個々の歯科医院でも扱えるほど身近になりました。こうした技術革新の結果、現在のインハウスアライナーは以前のものと区別するために、「デジタルインハウスアライナー」と呼ぶのが良いのではないかと思うほど、別次元のクオリティになっています。待されることが多かったのです。デジタルインハウスアライナーは、従来に比べて治療計画の自由度が高く、設計が柔軟で、CTを使うため、予測実現性が高いと考えます。アライナー矯正治療に関して日本では、海外から数年遅れたトピックを取り入れることが多く、欧米のトレンドを見ると数年後の日本の未来が予測できます。そのため私は、世界でこうした新しいアライナー矯正治療へシフトしたように、今後日本でも同じような動きが広まってくるだろうと予想しています。治療に用いるデジタル機器は、さまざまな企業の努力により今なお進化を続けています。同様に、アライナー矯正治療の未来もまだまだ進化することが予想・期待されます。その変化とともに、われわれも考えを柔軟に変え、今後に向けて学び、知識を取り入れていくことが必要だと考えています。  (了)8QUINT ORAL INFORMATIONになることに日本との差を感じますし、この学会をきっかけにインハウスというワードがより広く認知されたと思います。矯正装置の院内製作という概念は、以前から存在していました。しかし、なぜ今インハウスアライナーが注目されているのでしょうか。私は、アライナーを取り巻くデジタル機器に大幅な進歩があったからだと思っています。IOS(口腔内スキャナー)、CAD/CAM、いても、この新しく有意義な材料の使用が広まっていくことを願っています。世界でよく「第5世代アライナー」と呼ばれるこの新しい材料を用いたダイレクトプリントアライナーによる矯正歯科治療は、以下の理由から世界中で関心が高まっています。①企業に依存しないデジタルプランニング②アライナーの形態を任意に設定できる③アタッチメントを少なくすることができる④模型を用いないため経済的で環境に優しい⑤形状記憶機能が歯の移動に効果的である私が近年、欧米をはじめ海外の矯正歯科学会から受けた講演依頼は、すべてデジタルインハウスアライナーに関するトピックでした。なかでも上記の①と⑤に関連した、歯科医師によるCAD/CAMを用いた治療計画や歯の移動シミュレーション作成、形状記憶アライナーを用いた臨床結果についての講演を期クイント・オーラル・インフォメーション1つめの岐路 インハウスアライナーからデジタルインハウスアライナーへ2つめの岐路 ダイレクトプリント用形状記憶レジンによる第5世代アライナーアライナー矯正治療フロンティアテクノロジー

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