いま僕はNEMOというソフトウェアを使って分析していますが、そこにもRAYFaceの顔貌データは入ります。オープンシステムのため、全部OKです。これも大きいです。今ある口腔内スキャナー(以下、IOS)とCTとRAYFaceの顔貌データで一気にマッチングして仮想患者「デンタルアバター」をつくり、検査・診断・治療計画をスムーズに行えるのも、メリットだと思います。 今では、僕が海外で講演するとき、RAYFaceのフェイシャルスキャンのデータを出して、「こういうふうに分析しました」とお話しすると、すぐにわかってもらえます。「何でこういう移動をするの?」という質問はなくなりました。ビジュアルがあれば見てわかりますし、「曲がっていますね」とか「下げたほうがいいですね」とかが一発でわかるので、正しい診断と治療につながると考えています。 また、歯科技工所との連携においても、RAYTeamsというクラウドシステムを活用したデータ共有が可能です。顔貌データはもちろん、RAYFaceのソフト上でマッチングしたIOSデータやDICOMデータも一括で送れます。顔貌データがあることで意思疎通が格段に向上し、より良いものが早く作れます。 今までは治療計画に必要な笑顔の顔貌写真の撮影は大変でした。口角を上げてもらって、スマイルラインを見て、歯肉がどこまで見えるのかを狙って撮らないと、いい分析ができないからです。 それが、RAYFaceだと、本体正面に丸いミラーがあるので、患者さん自身で自分の笑顔が見える。笑って撮影というのが、プリクラみたいにできます。これは患者さんだけでなく、僕たちも楽でありがたい。 さらに、顔貌写真撮影はプロのカメラマンでもライティングが難しいです。でも、RAYFaceではすごく簡単です。スタッフでも簡単に楽しく撮れるので、「こんな感じで撮りますね」とか「もう一回撮ります」とかも簡単にできます。 お顔のデータはおもしろいらしく、皆さん反応がとても良いので、なるべく早く導入したほうがいいと思います。2年後、3年後になると優位性がなくなってしまうからです。僕が日本で最初にインビザラインのiTeroを導入したのは今から10年前の2014年8月です。このときは「iTeroでスキャニングしてほしい」と、遠くからいらっしゃる方もいました。 また、お顔のデータがあれば、お子さんの成長も見られます。これにより、いつ矯正治療を開始するのか判断できます。保護者の皆さんがいちばん心配なのは、「いつ始めたらいいですか?」ということです。RAYFaceでスキャンしていれば、データを並べられるので、たとえば、上顎の成長のピークが11歳くらいで、下顎が14~15歳以降になってくると、「いまがタイミングじゃないですか?」とか、そういうアドバイスもできる。小児の定期健診時に、 RAY JAPANが提供するフェイシャルスキャナーのRAYFaceと、歯科用CBCT(以下、CT)やセファロも搭載されたエックス線撮影装置であるRAYSCANの魅力と導入のメリットについて、2006年からインビザラインを導入し、現在都内3ヵ所でアライナー矯正治療専門歯科医院を開設している尾島賢治先生にお話を伺いました。(編集部)フロンティアテクノロジー代表QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション10数あるフェイシャルスキャナーのなかからRAYFaceを選んだのはなぜですか? 僕はRAYFaceにたどりつくまでに、イタリアの学会、ドイツの学会、IDS(ドイツで開催される国際的なデンタルショー)などに行って、各社のフェイシャルスキャナーを全部見ました。そのうえで、現在はRAYFaceを使っています。 僕がこのRAYFaceに決めた理由は2つあります。まず、顔は歯と違って軟組織なので、15秒~20秒かけてスキャニングするタイプのものだと患者さんが動いて誤差が出ます。しかし、RAYFaceは0.5秒という短時間で撮るので誤差が出ないのです。また、まぶしいと患者さんが眼を閉じてしまうのですが、瞬間的に撮るのでまぶしくないのもいいです。 次に、顔貌データの色などがリアルでクオリティがいいのがRAYFaceでした。しかも、首の曲線もすごくきれいに出るので、歯のデータと合わせやすい。お顔のデータのクオリティが低いと、歯のデータと合わせるのが大変です。その点、データの精度が高いと合わせるのも早いし、プランニングも楽なので、RAYFaceがいいと思っています。全部見ても迷わなかったです。顔貌を含めて分析するには、さまざまなデータとのマッチングが必要になると思いますが、RAYFaceの互換性はいかがですか?実際に使ってみて、院内での反応はいかがですか?患者さんの反応はどうですか?尾島賢治Kenji Ojimaフロンティアテクノロジー“新しい”デジタルデンティストリーが始まるRAYFace/RAYSCANの可能性
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