89JAID特集 数年前より、長尾龍典先生の多くのアライナーの臨床例を見ることで、一般臨床医がAIの力を借りて矯正治療の結果を直ぐに患者に示すことができる矯正歯科治療の飛躍を感じていました。 そのような中で、Sandra Tai先生の著書『CLEAR ALIGNER TECHNIQUE』を邦題『アライナー矯正歯科治療』としてJAIDで翻訳できたことは、本当に名誉なことだと思っています。 森本太一朗先生の英語抄読会のメンバーを中心に、矯正専門医でない一般臨床医が翻訳にたずさわることに躊躇がありましたが、担当編集の浅尾さんをはじめ、多くの先生方のお力添えで完成に至りました。 アラインテクノロジー社が独自開発したソフトウェアを使用することで、歯の動きをアップデートしてシミュレーションすることができます。そのため、歯の矯正後の位置・咬合を決定することができるのです。また、受診の度に、患者に治療経過を提示することができるのです。 つまり「治療開始前に治療結果を選択できる」矯正のツールであるということです。現在、コロナ禍で治療回数を減らすことが求められていますが、そのような状況下でも患者と十分なコミュニケーションをとる大きなツールとも成りえると思われます。 一般臨床医だけでなく、矯正専門医の先生方にも新しい矯正の選択肢としてこの書籍が役立てば幸いです。 コロナ禍最中に、この本の翻訳、歯科医療全般の見直しをメンバーの皆で共有できたことは、大きな力となりました。 来年もこの国難の中、医療界全体で乗り越えられることを祈念いたします。書籍製作活動『アライナー矯正歯科治療』五十嵐 一(JAID顧問、京都府開業:五十嵐歯科医院)アライナー自体が歯を被覆することで、アライナーと歯が適合する。デジタルスキャンや印象採得で歯列が正しく記録されていれば、歯の咬合面、頬側、舌側などを覆うアライナーと歯が適合し歯の移動が可能となる。
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