デンタルアドクロニクル 2022
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臨床力アップ  に直結! 話題の研修・セミナー情報!講師が語る104デジタル歯科補綴・咬合予防インプラント矯正(アライナー含む)マネージメントエンドぺリオBasicAdvance理事長 三林栄吾 Eigo Mitsubayashiプロフィール 1987年、愛知学院大学卒業。1987年、神奈川歯科大学総合診療科。1989年、神奈川歯科大学矯正科。1992年、みつばやし歯科・矯正歯科クリニック開院。現在、シュアスマイル研究会の会長も務める。―世界の矯正歯科治療とデジタルの融合を目指して―一般社団法人 日本デジタル矯正歯科学会日本デジタル矯正歯科学会設立の経緯 現在、歯科用コーンビームCT、口腔内スキャナー、CAD/CAMあるいは3Dプリンターなどのデジタル化が進んでいる。そして、個々の患者医療データを統合する動きも加速してきている。また、他科との連携のインターディシプリナリーもデジタルデータによって容易になってきた(図1)。 しかしながら、デジタルワークフローやシミュレーション方法、歯科用コーンビームCTなどの診断知識を、基本から学ぶ機会がほとんどないのが現状である。現在の状況では、デジタル化すればオートマチックに矯正歯科治療ができるわけではない。その典型的な例が、アライナー矯正歯科治療である(図2)。 透明なアライナー型矯正装置は、審美性・口腔清掃性が高く、初期の患者負担が少ないシステムのため、口腔内スキャナーがあれば一般開業医にも導入しやすい矯正装置であるが、治療目標が達成できていないなどの多くの諸問題が発生している。最近の論文においては、大臼歯の遠心移動は、最大2.5mmと小臼歯部の抜歯スペースの閉鎖は、最大7mmまで良好にコントロールされ、予知性の高い移動であることが示されている1)。しかし、バイオメカニクス(生体力学)などの知識がない診断での矯正歯科治療は、患者を不幸にするだけでなく、矯正歯科治療の社会性を失墜させる危惧すらでてくるだろう。 そこで、術者を育成・成長をさせ、患者・社会福祉貢献のため日本デジタル矯正歯科学会は次世代のデジタル矯正歯科治療に向けた活動を行うためのプラットフォームとしての役割を果たすことを目的に創設された。術者を育成・成長させるためには具体的に何が必要か 本学会は、術者となる会員を育成・成長させるため、基礎的な勉強の場やデジタル矯正歯科治療に関する学術および研究発表をすることなどの交流活動を積極的に行っている。 さらに、本学会はそれらを実現するためのコースを開催することを予定している。1:デジタル矯正歯科治療で何ができるのか2:デジタルによって矯正診断がどのように変わったのか3:デジタル矯正にはどのような種類・装置があるのか4:デジタル矯正におけるさまざまなシステムの使いこなし方 などデジタル矯正の基礎から、応用までの学習ができる予定である(図3-a~f)。日本デジタル矯正歯科学会(Japan digital orthodontic society:JDOS)は、デジタルソリューションを用いてデジタル矯正治療に関する学術および研究発表をすることで会員相互ならびに国内外との連携、協力団体との交流を深めていきます。国民に対しては、安全、良質なデジタル矯正歯科医療の普及をもって、健康増進および福祉の向上に貢献することを目的とします。1)Rossini G , Parrini S, Deregibus A, Castroorio T. クリアアライナーを用いた矯正的歯の移動のコントロール(有効性と効率性に関する最新システマティックレビュー). JOURNAL OF ALIGNER ORTHODONTICS 日本語版. 東京:クインテッセンス出版. 2021;1(1):17-30.

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