デンタルアドクロニクル 2022
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115臨床力アップ  に直結! 話題の研修・セミナー情報!講師が語る方向性を示す新たな形とし、従来の症例報告に加えて充実した教育講演や研究発表を据え、併せて各支部から全12症例の示説発表も行われた。閉会の辞は本多正明先生が述べられ、閉幕した。臨床研究の集積 2020年11月より学術委員会が新たに立ち上がり、日本臨床歯科学会からの「原著論文」の投稿に向け、現在いくつかの研究が進められている。「原著論文」(Original Article)とは完全オリジナルの論文であり、関連分野の先行研究を引用し土台にしながら著者独自の研究および研究結果、また新しい知見や最新の研究内容などを積み上げまとめられた未発表の論文である。この投稿により全世界に最新の科学的知見が発信され、医療の発展に繋がっていく。今回は現在進められている研究の中から2つの「原著論文」を簡単にご紹介したい。ひとつは、2018年に約20年ぶりに米国歯周病学会(AAP)/ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)より公表された歯周病の新分類による歯周炎の有病率と重度歯周炎患者(ステージⅢ・Ⅳ)の割合を調査した多施設共同研究である。新分類になり、歯周炎の評価方法もステージとグレードという形式になった。これらの分類に応じて、もっとも適切な予防的および治療的介入の使用を促進できるようになった。また歯周炎の定義も再編され、集団間の歯周炎の有病率・重症度の分布の比較もより明確に示すことが可能となっている。本論文では、日本臨床歯科学会東京支部所属の11施設の協力のもと、日本人における歯周炎の有病率と重度歯周炎患者(ステージⅢ・Ⅳ)の割合を前向きに多施設共同研究した論文である。もうひとつは、「成人患者における下顎前歯叢生量が歯肉退縮の発生に与える影響について」の後ろ向きの臨床観察研究である。近年、アライナー矯正歯科治療の普及もあり、成人を中心に矯正治療を希望する患者が増えているが、無理な歯列の拡大などが歯肉退縮を引き起こすという報告や、不正咬合自体が歯肉退縮を引き起こすなどの報告があり不明な点が多くある。本論文は、成人患者における叢生と歯肉退縮の関係を明らかにすることを目的とするものである。今後さらに、本学会発の「原著論文」を世界に向け発表していきたいと考えている。東京支部コースの特徴 東京支部のコースは、レギュラーコース、原宿マスターコース、マイクロコースに大別される。レギュラーコースは、1年12回のハンズオン付きのコースで、検査・診断から治療計画立案、インプラントや歯周補綴など日常臨床で日々行われる内容で、即日、臨床に応用していただける有益性の高いコースである。山﨑長郎先生と、常任理事の茂野啓示先生が講義実習を担当し、インストラクターも細やかに対応をしている。原宿マスターコースはレギュラーよりもさらにアドバンスな内容となり、審美修復治療、現代の咬合再構成についてや矯正治療などを絡めたインターディシプリナリーアプローチなどの内容である。マイクロコースは、マイクロスコープを日常臨床に応用するための基本から臨床応用が含まれた、役立つ内容となっている。マイクロスコープについてのベーシックコース、鈴木真名先生が担当する拡大視野下の歯周外科処置、再生療法を行うペリオコース、岡口守雄先生が担当するエンドコース、大河雅之先生が担当するマイクロベニアコースに分けられる。本学会は検査・診断から包括的な診療を軸として、レギュラーコースを終えた後もステップアップミーティングや例会での症例発表を目指しながら継続的に研鑽を積んでいる。日本臨床歯科学会のこれから(来年度の展望) 本学会は、レギュラーコースをはじめとする各種研修会、ウェビナー、オンラインでの症例検討会を通じ目標のために日々研鑽を重ねている。 また、学会化にともない、症例発表のみならず臨床に寄り添った研究もさかんに行っており、会員の歯科医院ごとに臨床研究を集積・考察し日本臨床歯科学会誌に原著論文として投稿している。そして2022年の 日本補綴歯科学会第131回学術大会(2022年7月16、17日)では、本学会と共催となるメインシンポジウム「補綴歯科の未来を語る(仮題)」とハンズオンセミナーが開催予定である。今後も、日本臨床歯科学会は臨床・学術の両立により世界の歯科界を牽引する学会を目指す。Regular レギュラーMaster マスターMicro マイクロ・基礎資料の収集・総合診断治療計画・歯周治療(歯周外科基礎)・咬合治療の実際など・マイクロスコープの扱い方・審美的コンポジットレジン充填・縫合など・ベーシックコース・エンドコース・マイクロべニアコース・ペリオアドバンスコース東京支部コースのご紹介申込み・お問合せhttp://www.tokyo-sjcd.com/

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