デンタルアドクロニクル 2022
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25Dentsply Sirona × 草間幸夫(1994年)の当時は、今と比較にもならないほど器械の処理する能力が低かったため、操作する人間の技量が必要なわけです。最初のCEREC1は、それこそスペシャリスト以外は使いこなすことができないような機器で使うためには相応のトレーニングが必要でした。 私は、CEREC1は直接臨床に使ったことがなく勤務先にあったCEREC2を使っていましたが、当時一般的には適合性が良くないという評価が多かったと思います。当時の日本では、適合精度についてセメント被膜やボンディング材の厚みをとても気にされる先生方も多く、そのギャップに悩みました。しかし、金合金のインレーよりも生存率が高いというエビデンスがあり、調べていくうちにMörmann先生の論文にたどり着いたわけです。 エビデンスはあるものの、CERECによるOne Day Treatmentを行おうとしていた当時の日本では、CERECについて学べる環境はほとんどありませんでした。そこで、私はCERECシステムを学びにドイツに行きました。 その後、2006年から私がインストラクターを務めているISCD(国際コンピューター歯科学会)の仲間たちとシロナデンタルシステムズ(現・デンツプライシロナ社)やチューリッヒ大学にも通いながら、CERECシステムに関する知識や技術を高めていきました(図1〜4)。 その時、シロナ社のR&Dのスタッフが必ず口にしていたのが「習熟が早く進むにはどうしたら良いだろうか」ということでした。企業として売り上げを上げるというよりも、器械の成熟性や習熟度を高めるにはどうすれば良いかということを基本に置きながら、私たち歯科医師に寄り添うような研究・開発に尽力されていましたね。私たちもいろいろ意見を求められましたし、そのような臨床家の意見やアイデアを1つひとつ具現化されて現在に至っていますので、企業の姿勢としてすばらしいと思いました。草間 幸夫 くさま・ゆきお東京都開業。1979年、城西歯科大学(現・明海大学)卒業。1990年、医療法人社団研整会 西新宿歯科クリニック開設。現在、ISCD CERECインストラクターならびにISCD CEREC Internationalインストラクターのほか、(一社)日本臨床歯科CADCAM学会前会長、日本デジタル歯科学会理事も務める。図1 2006年、ジュネーブ大学のProf. Ivo Krejciのレクチャーを受ける。図2 2008年、チューリッヒ大学のDr. Bindlからトレーニングを受ける。

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