26Quint Dental AD Chronicle 2022――草間先生が考える、真のオープンシステムについてお聞かせください。また、これまでのCERECの「進化」の中でもっとも印象的な出来事を挙げてください。草間:先日、デンツプライシロナ社のDon Casey CEOとお話しする機会をいただいた際、彼はグローバルで真のネットワークづくりを目指していることを熱く語ってくれました。デンツプライシロナ社が有するクラウドコンピューティングサービスが今以上に充実・拡大し、たとえばSTLやDICOMなどのデジタルデータが問題なく共有できるようなネットワークシステム、つまり真のオープンシステムが近いうちに実現することを期待しています。 歯科医療従事者の皆さんにとっての印象的な出来事は、やはりCEREC Primescanの発売ではないでしょうか。光学印象の精度や操作性はもちろん他の追随を許しませんが、それだけではなく、従来のような歯科補綴物を製作するだけでなくシミュレーションの機能が拡充されたことはとても大きいと思います。審美治療や矯正治療にしても、シミュレーションができて治療結果がイメージできると患者さんも治療へのモチベーションが上がると思いますし、今後はソフトウェアのアップデートにともない、シミュレーションの精度はさらに進化向上していくと思いますので、さまざまな臨床応用が可能になるのではないでしょうか。個人的には、現段階で睡眠時無呼吸症や顎関節症(TMJ)のアプライアンスも製作できますが、咬合の解析はまだできませんので、それが進むとうれしいですね。 個人的に印象深い出来事といえば、CERECのバイオジェネリックソフトウェアの登場ですね。バイオジェネリックソフトが発表された時は衝撃的でした(図5)。CADソフトで歯科補綴物を設計する際、バイオジェネリックという生物統計学的手法を用いた演算式を使用しています。その演算式に患者さん固有の咬頭角や咬頭展開角といった変数を入れるだけで、患者さん個々の口腔に合わせたCADデザインの提案が可能となることは画期的なものでした。他機種と一線を画す進化だったと思います。歯科臨床にもたらしたCERECの「真価」とは――CERECは年々「進化」し、ハード・ソフトともにさまざまな「深化」を遂げています。草間先生は、歯科臨床にもたらしたCERECの「真価」について、どのようにお考えでしょうか。草間:私が考える「深化」は、やはりワークフローの変革です。CERECを活用した歯科治療で患者さんにもたらしたメリットの1つとして挙げるならば、間違いなくメタルフリーですね。陶材焼付鋳造冠の製作は歯科技工士に図3 2008年、Prof. Mörmannの教室にて。図4 ドイツの審美歯科の第一人者の一人、Dr. Kurbad のクリニックを訪問。
元のページ ../index.html#28