デンタルアドクロニクル 2022
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27Dentsply Sirona × 草間幸夫依頼していて、手間も時間もかかるうえに金属代も高かったですし、歯科技工料を含めた料金は結局患者さんの負担となります。しかしCERECシステムを使用するセラミックは生体親和性にすぐれた材料を使用し、陶材焼付鋳造冠よりも製作期間は短くてリーズナブルな値段で提供できます。 したがって、CERECが患者さんに恩恵をもたらしたメリットは、材質と時間、費用といえるでしょう。 その他には、インプラントへの応用でしょうか。当院ではインプラント治療のほとんどをガイデッドサージェリーで行っています。やはり自院でCERECガイドが製作できることが大きいですね(図6、7)。 他の先生方の意見として、システムとの連携について相談を受けます。たとえば口腔内スキャナーはA社で歯科用X線CT装置はB社、ソフトウェアはC社というように、機器をバラバラに揃えることが散見されますが、バラバラに揃えると実はたいへんなのです。もちろん、すべて同じ企業のシステムを使用するとスムーズに対応できますが、すべて同じシステムで揃えることができる企業は限られています。デンツプライシロナ社のようなグローバル企業はマーケットシェアも大きいですから、そういう意味で安心できますね。 そしてCERECの登場によって、発売当初は特殊だった光学印象のイメージで歯や補綴物の形をデジタル化していましたが、それが現在ではごく当たり前の時代となりました。今ではデジタル化したデータを連携させて治療だけでなく患者さんのコンサルテーションにまで活用する器械という認識に大きく変化したと思いますし、そのように改革させたCERECシステムの功績は大きいです。 歯科界では、口腔内スキャナーの情報が日々アップデートされていますし、今後は口腔内スキャナーのさらなる精度の進化によってスタディモデルを歯科医院やラボで保管する必要がなくなる時代もそう遠くはないと思います。超高齢社会で義歯のニーズは間違いなく増えてくるでしょうから、デジタルデンチャーもますます発展していくでしょう。これからはハードウェアだけでなくソフトウェアも限りなくアップデートされると思いますので、私もユーザーの1人としてCERECの「真価」を楽しみにしています。 最後に、これからCERECシステムの導入を検討される歯科医師の先生方は、開発に携わった先生方や研究者の方々たちのたゆまぬ努力と苦労によって、患者さんに良質な歯科医療を提供できるようになったということを少しでも念頭においていただければ幸いです。――本日はありがとうございました。図5 2008年(国内2010年)、CERECブルーカムの登場で2代目のCERECを導入。図6 当時Sironaのグループ会社だったSICATでシステムのレクチャーを受ける。図7 CEREC 25周年(米国・ラスベガス)にて講演。

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