29Dentsply Sirona × 佐々木英隆れるのですが、その強度的にはかなりジルコニア寄りだと思っています(図2)。 これまでの高強度ガラスセラミックは、単冠修復において使い勝手はとても良いのですが、高強度といえどもその強度はせいぜい500MPaで、ジルコニアのようにセルフアドヒーシブセメントでの装着はできず、支台歯と強固に一体化させるために必ずプライマー併用型の接着性レジンセメントを使用した接着操作が必要不可欠です。また、強度が高いので硬いブロックを削る際、チッピングが多くなる傾向にあります。今まで発売されている高強度ガラスセラミックは、日本では約4種類ありますが、いずれもチッピングが多いという感じがあり、特にクラウンのマージンを少し薄く作ってしまったときや、複雑な形状を加工する際には、若干チッピングする時がありました。そこが高強度ガラスセラミックの弱点だったといえます。 もう1つは、高強度ガラスセラミックは、ファーネスで焼成する場合に時間がかかってしまうことがあります。使用するマテリアルによっても異なりますが、平均では10~30分間ほど焼成しなければならないので、デンツプライシロナ社が推奨しているOne Visit Treatmentを行うためには、少し気になる部分ではありました。実際、私は高強度ガラスセラミックを使用する場合、1アポイントメントにつき2時間の枠を確保していますが、今回の「テセラ」はトータルの時間が大幅短縮され、もちろん審美性と強度も兼ね備えているので、日常臨床においてはたいへん便利なマテリアルだと実感しています。THE FIRST BLOCKミリングの再現性、焼成時間の短縮――実際に「テセラ」を使用してみていかがでしょうか。佐々木:そうですね。私は第一印象として加工の再現性が非常に良いブロックだと感じました。要はチッピングが少ない。硬化して歯冠色になっているブロックは当然硬い状態ですので、それをダイヤモンドバーでグラインディングしていくと、当然チッピングは出ると思っていました。しかし、実際は非常に良いシャープな仕上がりで再現性の高さには驚きました。 また、診療時間について、前述したようにアポイントメントとしては1本2時間という形をとっていたのですが、1時間30分程度になり、30分も大幅に短縮されましたね。その理由は焼成時間の短さでしょう。私が主に使用しているブロックは30分ほど焼成時間がかかりますが、「テセラ」のアドバンスド二ケイ酸リチウムブロックは、すでに部分的に結晶化されて図3 効果的な修復のためのCAD/CAM機器。PrimescanPrimemillSpeedFire佐々木英隆 ささき・ひでたか東京都開業。2002年、大阪歯科大学卒業。2002年~2004年、東京医科歯科大学第1補綴研修医。2004年~2005年、同大学第1補綴医員。2005年~2012年、トシデンタルクリニック勤務。2012年~2013年、スイスチューリッヒ大学客員研究員(CAD/CAM修復学/生物学)。2013年、エスデンタルオフィス開業。
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