デンタルアドクロニクル 2022
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35Dentsply Sirona × 三林栄吾 × 中嶋 亮タは標準値といえるのでしょうか。この疑問は矯正歯科医なら一度はもつのではないかと思います。 私が矯正科医局在籍当時に使っていたセファロ分析の標準値は、1969 年のデータを基に当時日本大学松戸歯学部教授の岩澤忠正先生が作成されたものでした。私が生まれる10年前のデータをもとに20代半ばだった私が成長期後半の子どもたちを診断し、現在では当時よりも平均身長が3cmも高くなっています。同じ日本人であればさほど傾向は変わらないかもしれませんが、時代によって顔に対する個人の価値観は大きく変化します。 不正咬合は3つの平面で発生し、頭蓋顔面全体に影響することに対して、従来の側面セファログラムなどの二次元情報はわれわれの生体の影絵にしかすぎません。また、これを裏付けるように三次元の情報を二次元にすることによって、かなり多くの情報が失われてしまうという報告もあります。 矯正治療に限らず歯科治療はサイエンス&アートですから、サイエンスであるかぎり再現性があることが前提です。デジタルデータの「正確性」「迅速性」「再現性」という3つの利点が矯正治療の再現性に大きく寄与することは明白ですね。デジタル矯正システム「SureSmileコンセプト」とは――両先生のSureSmile(OraMe-trix)との出会いと、当時感じられた率直なご感想をお聞かせください。三林:私と「SureSmile」との出会いは、2012年に神奈川歯科大学歯科矯正科の先輩である久保田隆朗先生(現・福岡県開業)の紹介がきっかけです。 2014年、その開発者であるDr. Rohit C. L. Sachdevaとお会いして米国・テキサス州ダラスにあるSys-temトレーニングセンターにて教育を受けるなかで、今までとはまったく異なるレベルによる矯正治療の可能性を感じることができました。当時のデジタル矯正治療は、日本においては模型をデジタル化する程度で、まだ臨床に応用できるレベルではありませんでした。しかし、SureSmileはCBCTと歯牙模型を用いて歯冠だけでなく歯根、歯槽骨、顎関節、咬合までも考慮した矯正治療ができ、そしてこれらを考慮した矯正シミュレーションが可能で、歯科医師より精密なワイヤーベンディングができる唯一のシステムではないかと思いましたね。中嶋:私は、2013年にOraMetrix社から日本の開業歯科医への正式導入の第1グループとして認定され、国内トレーニングを経たのち2014年に現地のSureSmileラボで1週間、トレーニングを受けたことがSureSmileとの中嶋 亮 なかじま・りょう2004年、日本大学松戸歯学部卒業。2008年、日本大学大学院(歯科矯正学専攻)。2008~2013年、日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座助手(専任扱)。2014~2018年、日本大学松戸歯学部 顎顔面外科学講座兼任講師。2021年より医療社団法人真美会 銀座矯正歯科院長。現在、日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座兼任講師も務める。SureSmileは患者さんに寄り添った矯正治療をするためのベストな選択肢となりえる

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