36Quint Dental AD Chronicle 2022出会いです。私もDr. SachdevaからSureSmileコンセプトについて教わることができました。 Dr. Sachdevaは「SureSmileは魔法の杖ではない」と話されていて、画面の指示やラボのセットアップどおりに矯正治療を進めればすばらしいケースができあがるものではないということを強調されていました。私の実感でも、SureSmileワイヤーはあくまでもカスタマイズされたワイヤーの範囲を超えるものではありませんでした。口腔内にセットしたからといって自然と上下のミッドラインが一致したり、歯列の前後関係が改善したりするものではないのです。あくまでも術者の治療計画に基づいてデザインされ、矯正治療のツールの1つとして扱わなければならないことを学びました。多様化する矯正治療SureSmileの優位性――アライナー矯正システムが隆盛をきわめつつあるなか、SureSmileの優位性についてどのようにお考えでしょうか。三林:矯正治療において、患者さんの希望・要望も多様化してきており、「目立たない」「痛くない」「より快適」「治療期間が短い」「安価な治療費」などが求められています。見た目が透明なアライナー矯正システムは、審美性はもとより口腔清掃性が高く、初期の患者負担が少ないため世界中で普及しています。 SureSmileは、STLやDICOMなどの二次元、三次元データを融合してシミュレーションし、歯冠・歯肉だけでなく今まで見ることのできなかった歯根・歯槽骨・ボーンハウジング・顎関節・外科矯正まで考慮した治療計画が立案可能です(図1)。また、リアルタイムで修正することもできますし、患者さんの顔貌のスマイルラインに合わせ、お互いにコミュニケーションを取りながら治療計画を立てることができますので、最終的なゴールの審美面でもすぐれています。中嶋:SureSmileは、患者さんの顎顔面モデルを基に矯正治療を提供できるシステムとして、もっとも解剖学的な情報精度にすぐれ、アライナーデザインの自由度が高いといえます。言い換えると、他のアライナーシステムでは得られない情報量を使いこなすには術者の知識や技量が問われるともいえますが、それだけ価値のあるデジタル矯正システムであると私は考えています。アライナー矯正システムのあるべき姿――生涯研修の必要性――日本におけるアライナー矯正システムのあるべき姿についてお聞かせください。三林:冒頭に述べたように、CBCT、口腔内スキャナー、CAD/CAMあるいは3Dプリンターなどのデジタル化が進み、個々の患者さん医療データを統合する動きも加速してきています。また、他領域とのインターディシプリナリーアプローチもデジタルデータによって容易になってきました。 しかしながら、現状ではデジタルワークフローやシミュレーション方法、CBCTを用いた診断などの知識を図1 SureSmileの5つの特徴。
元のページ ../index.html#38