デンタルアドクロニクル 2022
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41Dentsply Sirona × 谷尾和正プランニングをサポートしてくれることはありますが、それはただリモートでつないでソフトを操作しているだけですので、データセキュリティーやワークフローに関しては従来のままで、完成されたデジタルワークフローとは言い難いと思います。まず今のところは、比較的小規模なインプラント症例、1~3本程度の症例に対して使用しております。インプラント埋入計画、ガイド製作にあたっては、インプラントフィクスチャーの配置、3Dデータの製作や、神経描画、埋入予定位置の両隣在歯の着色まですべての準備をデンツプライシロナ社が行ってくれます。当然ですが、デンツプライシロナ社が行うのはあくまで準備であり、実際のガイドオーダー前には、症例の最終確認、承認あるいは必要に応じてインプラント位置の調整などを自分でしなければいけませんが、従来行ってきた作業やそれに費やした時間を顧みると、大幅に負担が軽減しております。 また、ソフトウェアは無償でwebからダウンロード可能ですし、年間ライセンスもありませんので、まだガイデッドサジェリーを導入されていない先生でも、負担なく始めることができると思います。オーダーフローも洗練されており、簡潔、簡便で非常に使いやすいです(図2-a)。従来のシムプラントソフトウェアは若干マニアックな部分があったのですが(笑)、こちらはスマートフォンアプリのような感覚といったところでしょうか。Primscanの撮影データがCCC(コネクトケースセンター)経由で簡単にDDSC(デンツプライシロナのデジタル製品製造所)へ送れるようにシステムが連携しているのも、当たり前のようなのですが、他のシステムではいまだにUSBでPC間のデータを移し替えるなど、実現できていない部分です(図2-b)。鈴木:従来のシムプラントProとは、どのように使い分けられていますか?谷尾:SPSは簡便でとても使いやすいですが、より高度な診断が必要な症例には引き続きシムプラントProが不可欠です。具体的には多数歯症例におけるインプラント間、アバットメント間の並行性の確認や、バーチャルによる抜歯シミュレーション、骨質の確認などに比較的よく使います(図3)。またSPSと比べてさまざまな角度や方法で症例を確認できるため、より緻密な診査・診断が可能です。もちろん、その分手間と時間がかかりますが。鈴木:それでは最後に、今後のデンツプライシロナ社にどのようなこと期待をされますか?谷尾:現在でもデンツプライシロナ社のインプラントソリューションはすぐれていますが、今後はさらにソフトウェアとweb、各種器械が連携を深め、より高精度に使いやすく進化していただきたいと思います。 そして、さらにPrimescanが臨床に活用できるソリューションを期待しておりますし(図4)、それらを自分の臨床でも展開していきたいと思います。それはインプラントにとどまらず、昨今話題であるデジタル矯正や、まだまだデジタル化が期待できるエンドや保存修復、予防など、歯科診療におけるデジタル化をけん引していただくことを、ユーザーとして楽しみにしております。鈴木:本日はありがとうございました。デンツプライシロナ株式会社TEL: 03-5114-1034https://www.dentsplysirona.com図3 主要なシステムに対応する3Dインプラント治療計画ソフトウェア“シムプラント”。図4 さらなる精度、スキャンスピード、操作性を実現、さまざまなワークフローを効率化する“Primescan”。

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