51いかに患者さんのモチベーションを維持するか患者さんの人生のライフイベントに寄り添う――最初の「患者も主治医」の観点から,患者さんのモチベーション維持が非常に大切であると思います.それに関して,森田先生に歯科衛生士の立場からお話を伺えたらと思います.森田 私は患者さんとの信頼関係を一番大切にしています.口腔内のことはもちろんですが,患者さんの生活背景も医療面接のなかで聴取します.歯科衛生士として,それぞれの患者さんの人生のライフイベントに寄り添えるように心がけています. 信頼関係を構築するには,術者としての技術もとても大切です.メインテナンス時に患者さんに痛みを与えないことは,継続して来院いただく点において重要です.私が使用しているソルフィーF(図6)は振動が非常に少なく,患者さんに不快感を与えず,やさしく歯石を除去することができます.仕上げには,高い切れ味が特徴のGキュレットest2(図7)を使用し,取り残しがないように注意しています.また,インプラントが入っている患者さんの上部構造はセルフケアには限界がありますので,エアフローハンディ(図8)や,細部まで到達しやすいデブライドメント用インスツルメント#11-12チタン製を使っています.若林 当院では,カウンセリングで1時間から1時間半ほど患者さんにお話をします.そして,歯周基本治療が終わった段階でもう1回カウンセリングします.そこで,術前と術後の口腔内写真とプロービングデプスの資料をお見せして,治療後の変化について説明します.「患者さんが一生懸命セルフケアを行い,歯科医院のプロフェッショナルケアで歯石を除去したことでこんなによくなりました.ここからがスタートです.ちゃんとセルフケアをし,定期的に通院することが大切なんです」とお伝えします. 歯周基本治療の間,歯科衛生士が患者さんに指導し,信頼関係をしっかりつくっていきます.その結果,「この歯科衛生士さんなら,私のお口の中を任せられる」と来院が続くようになります.私は歯科医師になって39年,開業して32年になりますが,30年以上のお付き合いの患者さんや歯科衛生士がいます.そうすると,ちょっとした変化も全部わかるから,患者さんも安心して通院してくれます.患者さんのデータを時系列で管理することが大切――患者さんから信頼を得るには,口腔内の変化をきちんとデータ管理し,患者さんと情報共有することが大切といえますね.若林 1人の患者さんを長く見ていくと,いろんなことが見えてきます.ですから,1人の患者さんを時系列できちんと記録をとってデータ管理・保管することが大切です.前回と今回の比較だけではなく,10年前と今でどう変わっているかをすぐに見られるシステ図6 歯科用多目的超音波治療器“ソルフィーF”[製造販売:(株)モリタ製作所].図7 歯科用キュレット“est2シリーズハンドル”.左から,サクラ,カラフィー,丸柄,TOIRO,角柄[製造販売:(株)YDM].図8 能動型機器接続歯面清掃用器具.(上)エアフローハンディ3.0Plus,(中)ペリオフローハンドピース(別売),(下)エアフローハンディ3.0[製造:EMS].森田久美子兵庫県神戸市勤務・大川歯科医院歯科衛生士51
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