デンタルアドクロニクル 2022
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58Quint Dental AD Chronicle 2022 歯科医療従事者にとって、眼は大切な仕事道具の一つだ。診察や治療で目を酷使することが多いだけに、眼精疲労や視力の低下に悩まされているとの声もよく聞く。そんななか、歯科医療従事者の間で注目を集めているのがICL(眼内コンタクトレンズ)という近視治療だ。「アイシーエル KS-AquaPORT®」(Hole ICL)を考案した山王病院アイセンターの清水公也教授と、サピアタワーアイクリニック東京執刀責任者で10,000件以上のICL手術の経験をもつ北澤世志博医師に、コンタクトレンズやレーシックにはないICLの魅力をうかがった。コロナ禍で、現代人の目は過酷な状況に置かれている――コロナ禍でテレワークの導入が急速に進むなか、長時間のパソコンの使用やスマートフォンの利用などで、眼の疲れや視力の低下を訴える人が増えています。清水公也教授(以下、清水) 新型コロナウイルス感染症は、人々の仕事や暮らしのあり方を大きく変えました。患者さんに話を聞くと、パソコンの画面を見る時間がコロナ禍以前に比べて約1.5倍に延び、長い人は1日16時間も画面を見続けていると言います。一方で、対面で人に会ったり外出したりして、遠くを見る時間は減る傾向にあります。手元や画面ばかり見ていると、近視が進みやすくなるのは間違いないでしょう。北澤世志博医師(以下、北澤) 在宅勤務が増えて、眼精疲労に悩まされている患者さんは多いです。私たちは日頃、電車で出勤したり、同僚と雑談をしたり、社内のフロアを行き来したりすることで無意識のうちに目を休めています。自宅で過ごすことが増えると、自分でも気づかないうちに目を酷使してしまいがちです。実際、コロナ禍で「急に視力が下がった」と来院される方もいます。コンタクトレンズやレーシックの長所と短所――日本では、視力を矯正するためにコンタクトレンズを使ったり、レーシックを受けたりする人が多いです。コンタクトレンズとレーシック、それぞれの利用者数の推移とメリット・デメリットを教えてください。北澤 日本では10人に1人以上がコンタクトレンズを使用しているとのデータがありますが、レーシックやICLの普及にともなって利用者数は少しずつ減ってきています。コンタクトレンズは眼鏡のように視界が限られたり像が歪んだりすることがなく、眼鏡に比べて見え方がきれいです。ただ、コンタクトレンズの利用者には朝起きてから夜寝るまでずっと装着している人が多く、ドライアイに悩まされているという声をよく聞きます。清水 コンタクトレンズのデメリット最先端の近視治療 眼内コンタクトレンズ「ICL」がより良い歯科医療を支える清水公也 しみず・きみや山王病院アイセンター(眼科)センター長、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授、北里大学名誉教授。世界初となる点眼麻酔や前嚢切開による眼科手術など、現代の白内障手術の礎を築いたパイオニア。国内で初めてレーシックやICLなどの屈折矯正手術を導入し、「アイシーエル KS-AquaPORT®」(Hole ICL)の開発者としても知られる。

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