59スター・ジャパン 合同会社として、つけたり外したりすること自体の煩わしさや装着中の不快感、アレルギー症状や感染症などの医学的なリスクも挙げられます。北澤 最近は眼科医の診察を受けずにインターネット通販でレンズを安く購入し、自己流のお手入れなどを続けた結果、目にトラブルを起こす方もいますね。一方のレーシックはというと、ピークを迎えた2008年の年間症例数は約45万件でしたが、その後は右肩下がりです。直近の年間症例数は年間4万件弱と、患者さんの数はピーク時の10分の1程度に減っています。清水 レーシックは角膜を削り、焦点を網膜に合うようにする手術ですが、表面にフラップを作るときに角膜の神経を90%以上切断します。これが原因で、レーシックの手術を受けた方の7〜8割にドライアイの症状が見られます。これが、レーシックのデメリットの一つです。北澤 視力が回復するという意味ではけっして悪い手術ではありませんが、視力の質が低下する、術後の視力が安定しない、徐々に近視が戻ってきてしまうなど、見え方の質にもさまざまな課題があります。清水 こうしたコンタクトレンズやレーシックの欠点をカバーできる近視・乱視矯正手術がICLです。ICLの原理とレーシックにはない強みとは――ICLとは、具体的にどのようなものですか。その原理と、コンタクトレンズやレーシックにはない魅力について教えてください。清水 ICLは眼内コンタクトレンズと言われるように、患者さんに合った度数のコンタクトレンズを目の中に入れることで視力を矯正する治療法です。まず、点眼麻酔をして角膜を約3mm切開します。そこからICL専用のレンズを折り畳んで虹彩(茶目)と水晶体(目の中のレンズ)との間にある後房とよばれる位置に挿入し、固定します。手術にかかる時間は片目につき約10分と短く、手術中の痛みはありません。北澤 ICLは、コンタクトレンズに比べて矯正できる度数の幅が広く、レー北澤世志博 きたざわ・よしひろサピアタワーアイクリニック東京執刀責任者、日本眼科手術学会理事。福井大学医学部医学科卒業後、東京医科歯科大学医学部眼科に入局。パーク病院眼科部長や東京医科大学医学部眼科客員講師を歴任後、2019年から現職。5万件以上のレーザー屈折矯正手術を手掛け、ICLをはじめとする有水晶体眼内レンズ挿入術の件数は10,000件以上にのぼる。※ICL(ImplantableContactLens)治療:患者さんに合った度数のレンズを目の中にインプラントをすることで視力を矯正する治療法
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