デンタルアドクロニクル 2022
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60Quint Dental AD Chronicle 2022シックでは対応できない強度の近視や遠視、乱視にも対応することができます。日本眼科学会「屈折矯正手術のガイドライン(第7版)」よりレーシックの場合、適応度数は10Dまでの範囲で実施することと定義されておりますが、ICLのレンズ規格度数の範囲は遠視〜近視が6.0Dから-18.0D、乱視は0.5Dから6.0Dと広く、ほとんどの人に対応できます。清水 ICLの場合は、万が一にも期待していた見え方と違ったり、視力に違和感があったりしたときには後からレンズを取り外すことができます。これは患者さんにとってとても大きな魅力です。「どのように見えるか」は個人の感覚によるところが大きく、理想も人それぞれです。だからこそ、可逆的であることには非常に大きな安心感があります。北澤 レーシックは生体を削る、つまりマイナスの手術です。もし、術後にドライアイがひどくなったとしても元に戻すことができず、目薬を点眼したりしながら耐えるしか方法がありません。一方、ICLは目の中にコンタクトレンズを入れるというプラスの手術です。角膜は削りませんし、傷口は縫合することなく自然に治癒します。外科・内科を含めたあらゆる手術の中で、一度切っても元に戻せるリムーバブルな手術はICLだけです。ICLなら術後の視力を長く保つことができる――レーシックと比較して、術後の快適さや見え方などの質に違いはありますか。清水 ICLは、レーシックに比べて術後の視力を長く保つことができます。レーシックの場合は、術後の時間が経過するに連れて10人に1人以上が近視に戻るというデータがあります。一方、ICLは矯正手術を行っても近視の戻りがほとんどありません。レーシックでは高次収差(角膜表面の歪み)によって起こる夜間の見えにくさが報告されていますが、ICLはコントラスト感度が良いため、昼夜を問わずよく見えることも特徴の一つです。北澤 手術時の角膜の切開幅が小さいので、ドライアイといった術後合併症のリスクも軽減できます。こうしたメリットが口コミなどを通じて広がり、ICLの症例数は昨今、右肩上がりで伸

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