デンタルアドクロニクル 2022
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61スター・ジャパン合同会社清水 実は、ICLにはレーシックと同等の歴史があります。私は1997年にレーシックとICLの手術を同時に手がけ始めましたが、初期のICLには大きな課題がありました。 目の中には房水という透明な血液のようなものが循環していて、それによって水晶体などが栄養を受けていますが、当時のICLは房水の流れをブロックしてしまうものだったのです。房水循環を保つためには術前または術中の虹彩切開、つまり茶目に穴を開ける手術をしたのちにICLを入れるという二段階の手術が必要で、これは患者さんにとっても医師にとっても少なからぬ負担でした。北澤 私は2007年からICLの手術を手がけていますが、清水先生がおっしゃるように、当時は二段階の手術に負担を感じていました。清水 さらに、虹彩切開をしても患者さんの5%には白内障が発生しました。合併症を防ぎ、かつ二段階の手術を不要にするにはどうすればいいか。研究を重ねるなかで生まれたのが、中央に0.36㎜の穴が開いたHoleICLです。ハワイにある光学赤外線望遠鏡「すばる望遠鏡」からヒントを得て開び続けています。私が執刀医を務めるクリニックでは、2020年4月から5月の緊急事態宣言の時期こそ一時的に患者数が減りましたが、その後の手術件数は対前年で約50%増です。清水 ICLは、レーシックに比べてネガティブな口コミが少ないことも特徴の一つですね。北澤 ICLの手術を受けに来られた方に「なぜICLを選ばれたのですか」と聞くと、20%弱の方が「知人の紹介で」「知人が手術をして良かったと言っていたので」とおっしゃいます。清水先生がご指摘されたように、ポジティブな口コミが多いことが認知度の向上や症例数の伸びにつながっていると感じます。全世界では既に100万眼以上の症例実績があるICLですが、日本国内でも数年以内にはレーシックの年間手術件数とICLの手術件数が逆転し、認知度もさらに上がると思います。――ICLが人気を集める背景には、清水先生が考案し、世界75カ国以上で使用されている「アイシーエル KS-AquaPORT®」(Hole ICL)の存在があります。

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