62Quint Dental AD Chronicle 2022発しました。実はあの望遠鏡、中央は光を通過させない構造になっているのです。これをコンタクトレンズに応用すると、レンズの中心に穴が開いていても視界を保てるのではないかとひらめきました。穴があれば房水の流れが正常になりますし、手術も一段階で済みます。臨床研究を重ねるなかで白内障の発生率を劇的に減少させることが確認でき、2011年には欧州で認可が下りました。日本では2014年に厚生労働省の認可を得ています。北澤 HoleICLは安全性や有効性、予測性ともに数多くの良い実証報告が出ています。さらに、レーシックは眼科の専門医でなくても執刀していましたが、ICLは学会の講習や認定手術を経た眼科専門医だけが認定を受け、執刀することができます。そのため、患者さんにとって信頼性や安全性が高い眼科手術の一つだと言えます。ICLを選択した人は合理的な思考の持ち主である――ICLの手術を選ぶ患者さんには、どのような傾向がありますか。清水 私がセンター長を務める山王病院アイセンターには、IT系の仕事をされている方がよくお越しになります。合理的な考え方と積極性をお持ちの方が多いという印象です。合理的な思考をされる方にとって何より大切なのは、時間と集中力の2つです。ICLは眼鏡やコンタクトレンズを着脱する手間がかからず、快適さが高まることで集中力も維持しやすくなると私は思います。北澤 私が勤めるクリニックの患者さんも、眼鏡やコンタクトレンズの煩わしさや手間から自由になることで目のケアにかける時間をゼロにしたいという多忙なビジネスパーソンが多いです。職種でいうと、システムエンジニアの方ですね。パソコンを見る時間が長いので、目が乾燥して疲れるとおっしゃいます。客室乗務員の方もよくお越しになります。コンタクトレンズを使っていると、長時間のフライトで目が乾燥して辛いからでしょう。 皆さんに共通するのは、ICLを選ぶことが仕事のアドバンテージになると考えている点です。歯科医療従事者にも、このような考え方をされる方は多いのではないでしょうか。
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