71COVID-19流行下で世界のアライナー矯正歯科を知るためにCOVID-19の世界的流行も丸2年を迎え、長期化するほどに世界の動きがわかりづらくなるのは必然だといえる。日本にもオミクロン株による第6波が襲来していることから、今後も見通しは不透明という状況の中で、JAAOのように世界の矯正歯科治療、アライナー矯正治療の巨人たちが日本のリスナーのために講演するという機会は得がたいものである。こうした状況以前からも日本と世界のアライナー矯正治療を取り巻く環境や歯科医師の立場、熱量には大きなギャップがある。欧米、アジア各国では矯正専門医が積極的にこの新素材を用いた矯正歯科治療に取り組み、研究数も急増している。矯正歯科関係のコングレスでは、大ホールであるにもかかわらず立ち見が出るほどアライナー矯正治療の講演に歯科医師たちが注目し、白熱しているという。これに対し、日本では一般開業医がポジティブな反応を見せている状況にあるものの、諸外国ほどの学術的な盛り上がりはいまだ見られていない。そうしたギャップを埋め、日本の矯正歯科の知見を世界水準まで広げることを目的としているのがJAAOである。そのため本会プログラムは世界中からスピーカーが選ばれ、トピックも多岐にわたる。矯正歯科を研究・実践しつくしている演者陣がそろう上図のとおり、本会のスピーカーは世界のさまざまな地域から招聘されている。なかでもChris Chang氏、Ravindra Nanda氏、第8回JAAOのスピーカーラインナップ(敬称略)。世界中から矯正歯科治療、アライナー矯正治療の知が集結する。Narandr Chevangkul [タイ]渡邉仁資林 一夫Chris Chang [台湾][日本] 尾島賢治Kamy MalekianChristian CoachmanIciar Boccio [フランス] David Couchat Akim Benattia[イタリア] Francesco Garino Tommaso CastroorioRavindra Nanda Jay BowmanWerner Schupp Benedict WilmesYau Yi Kwong [香港]Arthur Farias [ブラジル]Jay Bowman氏など、アメリカ歯周病学会のスピーカーとして安定した人気を誇る研究者・臨床家が名を連ねているところに注目したい。彼らの多くは長らくマルチブランケット装置を用いた矯正歯科治療を研究・実践してきた元老であるが、現在は新しい矯正歯科装置としてアライナー型矯正装置に研究の目線を移しつつある。すでに地位を確立している彼らが、つねに新しいものを追い続ける姿勢そのものに学ぶところがある。Chang氏はIZCスクリュー、BSスクリューなど自己開発したTADを用いたアライナー矯正治療を、Nanda氏は矯正歯科治療の既往がある思春期患者や成人に対するサージェリーファーストとアライナー矯正治療の組み合わせを、Bowman氏はヒューフレディ社が開発したアライナーチューイーや、アライナーにプレシジョ[スペイン] [ドイツ][アメリカ]
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