デンタルアドクロニクル 2022
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72ンカットやティアドロップカットを適切簡単に組み込める器具とそれらのカットを組み込んだアライナー矯正治療についてと、アライナー矯正治療といっても三者三様で、トピックがバラエティに富むことがわかる。世界の潮流は院インハウス内アライナー矯正治療へそしてもうひとつ、本会で感じ取れたトレンドとして、インハウスアライナー矯正治療へと世界の先達たちは進んでいるということである。インハウスアライナーとは、歯科医師の綿密な診断のもと、歯科医院内で口腔内スキャナーとCAD/CAMを用いてひとりひとりの患者にカスタマイズされたアライナーを作製し行う矯正歯科治療である。いわばこれまで多勢であったメーカー依存性の高い診断・治療からの脱却であり、歯科医師がその専門性とアイデンティティを患者の健康と幸福のために活かすことのできる手法として、矯正専門医を中心に手がける歯科医師が増えている。本会ではIciar Boccio氏、Arthur Farias氏、Werner Schupp氏、Akim Benattia氏、そして日本からは渡邉仁資氏がインハウスアライナー矯正治療について発表した。そのうち Boccio氏はインハウスアライナーの利点として、ブラケットと併用することを前提にアライナーを作製可能であること、また通常アライナーはメーカーにオーダーすると到着まで1ヵ月かかるのに比べ、時間の節約がかなりできることを挙げた。またFarias氏も、口腔内スキャナーにより印象採得と咬合採得の時間を短縮することができ、さらにこれは医院スタッフに任せることができるという点をメリットとして挙げており、この2点をあわせると治療効率がぐっとアップすることが示唆される。Schupp氏もスキャニングをスタッフに任せ、矯正歯科医として咬合のコントロールを行い、機能を重視したアライナー矯正治療のために、CBCT画像等を用いて顎関節が中心位となっているかの確認を行うなど、専門性が発揮できることに注力しているとした。デジタル化されつつある矯正歯科で患者に寄与するために他にアジアからはYau Yi Kwong (邱易光)氏とNarandr Chevangkul氏が登壇し、日本人と同じアジア自己開発したスクリューについて解説するChris Chang氏。TADや自己開発した矯正装置・ベネスライダーを用いた大臼歯の近心移動・遠心移動について講演するBenedict Wilmes氏。外科治療をともなうアライナー矯正治療の研究履歴について語るRavindra Nanda氏。アライナー矯正治療の治療計画に活用できるデジタルデバイスプラットフォームについて解説するChristian Coachman氏。日本アライナー矯正歯科研究会の進化と発展2022

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