デンタルアドクロニクル 2022
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73人患者のアライナー矯正症例という点でも学ぶところが大きい。Yau氏はトラブルシューティングとしてエラスティックやパワーアームなどの補助器具の活用について、Chevangkul氏はアライナー矯正治療によって起こる医原性開咬について講演した。こうした治療上のトラブルについて熟知していくことが、今後のアライナー矯正治療の発展と広がりに寄与することになるだろう。本会の締めくくりには、JAAO主宰の尾島賢治氏が、アライナー矯正治療の計画立案を助ける理論として、過蓋咬合の戦略的分類を解説した。尾島氏は他の不正咬合に対してもこうした戦略的分類を活かした治療を行っている。本会において診断・治療計画立案用デジタルデバイスプラットフォームについて解説したChristian Coachman氏が、「重症の矯正的問題を抱える患者よりそうでない患者が圧倒的に多く、彼らがアライナー矯正治療から受ける恩恵は大きい」「テクノロジーを否定する者は絶えないが、自分のアイデアのシミュレーションミスを、テクノロジーが検出し予防してくれるはずである」と語ったように、テクノロジーと医学、人間とのコラボレーションはこれからますます進み、そして避けられないものとなろう。次回の第9回日本アライナー矯正研究会は、2022年12月11・12日に開催される予定である。これまでInvisalignが講演の多くを占めてきたが、「次回は今回よりさらに多くのバリエーションが見られるはず」との尾島氏の言に、今から開催が楽しみである。(了)インハウスアライナーとフレンケル装置を統合した矯正装置について説明するWerner Schupp氏。自院のインハウスアライナーシステムについて解説する渡邉仁資氏。アライナー矯正治療の計画立案を助ける理論として、過蓋咬合の戦略的分類を示す尾島賢治氏。アライナー矯正治療の終盤に生じる臼歯部の開咬がどのように起こるか、そしてリカバリーについて講じるNarandr Chevangkul氏。本会プログラム・抄録についてはJAAOホームページをチェック!➡講演はVTRだが、ときおりライブでスピーカーとの通話画面が挟まれるのはオンラインイベントならでは(左:Benedict Wilmes氏、中:〔Yau Yi Kwong〕氏、右:Akim Benattia氏)。

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