デンタルアドクロニクル 2022
76/188

74日本アライナー矯正歯科研究会の進化と発展2022 補綴医である山﨑長郎先生と矯正医である尾島賢治先生によるインターディシプリナリーアプローチのきっかけは、2019年の日本臨床歯科学会(SJCD)総会例会で尾島先生がアライナー矯正治療に関するご講演したのを機に、連携が始まったとお聞きしている。より質の高い治療を患者さんに提供するために、今後ますます専門職の範囲を超えたアプローチが重要になってくることが予想される。そこで、インターディシプリナリーアプローチが秘めている可能性や今後のビジョンについて話をうかがった。(編集部)誰がリーダーシップをとるかに重点を置く──実際、連携を図るうえで補綴医・矯正医それぞれの立場から気を付けていることをお聞かせいただけますか。山﨑:私は従来、歯列矯正を行う患者さんをいわゆる補綴主導型なのか、矯正主導型なのかの2つに分けています。そのため、補綴治療がなかったり、ペリオがなかったりしたら、基本的に指揮をするのは矯正医であるのは間違いないです。ところが、成人矯正でペリオの問題があったり、欠損の問題があったり、あるいは補綴の問題があった場合、最終的な責任は補綴医にくるので、そのときは補綴主導型です。 私自身いつも思っているのは、誰がリーダーシップをとるかに重点を置いています。実際、尾島先生とやっていることは、矯正医である尾島先生が最終治療をして、あとは補綴のニーズがある患者さんに対して、私が介入するかたちです。これはお互いの職域をしっかり行った上で、二人でワーキングシェアをしている次第です。今後は術前からもう少し深く介入して、たとえばすでにセラミックスが入っていて、アタッチメントがつきにくい場合、セラミックスをとってオリジナルの歯の形態を作ってから尾島先生にお渡しすることもやっていきたいと思っています。信頼できる先生にお願いすると、依頼者側も安心して任せられる尾島:私のほうは逆に山﨑先生から患者さんをご紹介いただき、アライナー矯正治療をしてから、お戻ししています。私が直感しているのは、補綴はただ被せるだけでなく、咬合も考えなくてはならないことです。山﨑先生の長期症例を拝見すると、患者さんにも安心して紹介できるのがメリットです。私たち矯正医は歯の位置を移動するこ山﨑長郎先生と語る連携治療にアライナー矯正治療が入ってくるのか山﨑長郎氏東京都開業原宿デンタルオフィス日本アライナー矯正歯科研究会代表尾島賢治氏

元のページ  ../index.html#76

このブックを見る