デンタルアドクロニクル 2022
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76日本アライナー矯正歯科研究会の進化と発展2022 一般開業医も年々アライナー矯正歯科を治療オプションのひとつとして取り入れている医院が増えてきた。しかし、適応症の判断を誤っていたり、矯正治療の技術や経験が不足していたりしていると、思わぬトラブルを引き起こす可能性があり、導入に躊躇している一般開業医が多い。京都府で開業している中田光太郎先生もアライナー矯正治療を取り入れ始めたが、不安要素も多く抱えており、その対応には慎重なお一人だ。 そこで、これまでアライナー矯正治療3,000ケース以上の実績をもつ尾島賢治先生に、一初心者として中田先生が疑問点や不安に思っていることを投げかけていただいた。(編集部)治療に長けている先生ほど「怖さ」を認識している中田:私もまだアライナー矯正治療を始めたばかりの初心者なのですが、昔マルチブラケットもやっていた経験があり、正直なところ、アライナー矯正治療を始めるにあたって、はたして自分の診断が的確なのかといった診断の怖さを抱いています。インビザラインでしたら、インビザラインのフォーマットの診断がすべてで、それだけで始めていいのかというとそうではないと思っています。アライナー矯正治療を導入するにあたって、どのようにしたらその怖さを解消できるのか、お話をお聞かせください。尾島:まず中田先生のように「診断が怖い」という感情が芽生えている方は、怖さを知っているのでそれほど心配はないと思います。逆に「怖くない」と思われている方に、どうしたら「怖い」と思ってもらえるかなと考えてしまうくらいです(笑)。 私が一番怖いなと思うのは、矯正専門医が普段難症例をマルチブラケットで治して、その方がこれだったらアライナー矯正治療で治ると思ってアライナーをやったらかえってトラブルを招いてしまうケースです。例えていうなら、スキーを滑るのがうまい方が上級者向けコースを問題なく滑られると思って、そのコースをスノーボードで滑ってしまうと大事故につながるのと尾島賢治氏日本アライナー矯正歯科研究会代表京都府開業中田歯科クリニック中田光太郎氏中田光太郎先生と話そうアライナー矯正治療の勘所

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