83JAID設立10周年特別企画 JAIDでは創立以来、英語論文抄読会を継続しています。歴史的に有名な論文から始まり、当会会員の興味に沿った論文を選んできましたが、『ゼロボーンロスコンセプト』のような洋書を取り扱うことも増えてきました。抄読会の幹事としてつねに海外の出版物を検索し紹介しているのが、当会顧問の一人、五十嵐 一先生(京都府開業)です。先生の推薦がなければ、私がこの書籍を手にする機会はなかったかもしれません。 JAIDはこれまで米国、ドイツ、スイス、ブラジルなどで多くの海外研修を行ってきました。直接外国人の歯科医師から話を聞くメリットは非常に大きく、論文に表せない情報を得る貴重な機会でした。このようにJAIDでは活動の両輪として「国内での論文抄読」と「海外での直接の対話」を続けてきましたが、今回の世界的パンデミックで海外渡航ができない状況下では、最新の英語論文や洋書からの情報を取りこぼさないことはより重要でした。 今回翻訳を行った『ゼロボーンロスコンセプト』の著者Tomas Linkevičius先生は、リトアニアで臨床・研究されています。極東の日本で活動するわれわれも海外から知識を吸収する時期を終え、世界に向けて発信すべく準備していかなくてはならないことを知りました。 JAIDの学術的活動の中に英語論文抄読会があります。これは、興味のあるさまざまな分野の英語論文を選択して参加者に事前に翻訳をしてもらい、会当日に解説をしていくという2日間コースで、過去数年間にわたって行っています。中には英語書籍を1冊すべて翻訳するという回もありました。私自身の米国(ロマリンダ大学インプラント科)留学で英語論文や書籍に対する学術的な考え方を学んだ経験をふまえて、抄読会参加者にもその内容を伝えています。 クインテッセンス社から毎年刊行されているPRD YEARBOOKでは編集委員として毎年英語論文の査読と選択に携わらせてもらっていますが、米国やJAIDでのこのような経験が活かされていると感じています。 英語論文に触れることはとても重要なことですが、日々の臨床で多忙な中ではなかなか難しいこともあります。しかし、このPRD YEARBOOKは日本語に翻訳されているので論文を読むというハードルは低くなっているはずです。また、とくに気になる論文は英語論文自体も読んでみることを推奨します。本書籍を通して皆さんが英語論文を読む機会が増えることを期待しています。2021年度のJAIDの書籍製作森本太一朗JAID会員、福岡県開業: 森本歯科著:Tomas Linkevičius監訳:鈴木仙一、中居伸行、松成淳一A4判変型304ページ2021-08-10発売定価 25,300円(本体 23,000円+税10%) モリタ商品コード 208040791主席編集:岩田健男、山﨑長郎、和泉雄一A4判変型208ページ2021-08-10発売定価 7,480円(本体 6,800円+税10%)モリタ商品コード 208040794松成淳一JAID副会長、東京都開業:新宿西口歯科医院
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