デンタルアドクロニクル 2023
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126――岩野先生はインプラント周囲炎に対してどのような処置を行っておられますか?岩野:まずは非外科的治療で対応します。チタンスケーラーや超音波スケーラーを用いたスケーリング、エアフローによるバイオフィルム除去、Er:YAGレーザーを用いた除染などを行っています。また、機械的なバイオフィルムの除去に加えて、LDDS(局所薬物配送システム)を併用しています。非外科的治療は効果がないといわれているものの、システマティックレビューとメタ分析の結果から、非外科的治療にLDDSを併用することで、わずかではありますが臨床パラメータの改善が有意に認められる1と報告されているからです。 非外科的治療で効果が認められない場合は、その後に外科治療を行うことになります。外科治療の際には周囲粘膜を剥離翻転して表面の除染をします――インプラント周囲粘膜炎や周囲炎まで至ったケースや、予防において、どのような器具・器材を使用されていますか?岩野:非外科的治療として前述のものを使用していましたが、効果が限定的であると感じていました。そこで、新しくストローマン・ジャパン株式会社より発売された「Labrida BioClean」(ラブリダ バイオクリーン)というインプラント清掃ブラシを使い始めました。これは北欧で開発されたもので、ブラシがキトサン繊維でできているという特徴があります。とくに、インプラント治療を受けている方の多いスウェーデンで爆発的に売れているということは効果があると考え、積極的に日本におけるインプラントの現状インプラント周囲炎に対する治療方法が、当院ではチタン製のスケーラーやブラシ、Er:YAGレーザーを用いています。インプラント周囲炎に対しては、一般的には外科治療まで行うことが多いのではないかと考えています。インプラント清掃器具「Labrida BioClean」の登場Quint Dental AD Chronicle 2023――インプラント治療をされる患者さんが増えてメジャーな治療になってきているなかで、インプラント周囲炎や周囲粘膜炎が問題となっていますが、国内の現状について岩野先生のご認識はいかがでしょうか?岩野:8020運動の結果、近年日本人の残存歯数はかなり増加しましたが、それにつれて歯周炎の方も増えてきています。歯周炎の既往はインプラント周囲炎や周囲粘膜炎の最大のリスク因子であるため、それらの発症率も高まっているのです。また、超高齢社会を迎えた現在、寝たきりのため定期的なメインテナンスを受けられない、あるいはご自身でしっかりと口の中の管理をできない患者さんが増えてきており、そのため、インプラント治療を受けた患者さんの口腔管理も問題となってきています。インプラント周囲粘膜炎、周囲炎を外科・非外科で治療できるインプラント清掃器具「Labrida BioClean」の可能性岩野義弘

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