図1 1インプラント周囲よりBOPおよび排膿を認める。図2 初診時デンタルX線写真。1インプラントのとくに近心に著明な骨吸収像を認める。図3 インプラントと平行に周囲溝へ挿入し低速回転させて使用する。取り入れています。――キトサンにはどのような効果があるのですか?岩野:キトサンはカニの甲羅の成分で歯科においてさまざまな効果がある2と報告されていますが、とくに感染で炎症が起こっているような場合に用いると、抗菌作用や止血作用を発揮します。――Labrida BioCleanはどのように使用しますか?岩野:使用に先立ち、生理食塩水に2分以上浸します。その後ブラシをコントラアングルハンドピースに付けて周囲溝の中に挿入し、1,000回転以下で回転させます(図1〜3)。まずは機械的にバイオフィルムを除去する形で使用します。そこまでは普通のブラシと岩野義弘 いわの・よしひろ1999年、新潟大学歯学部卒業。1999年、日本大学歯学部保存学教室歯周病学講座入局。2012年、学位取得(歯学博士)。2012年、岩野歯科クリニック開院。2014年、日本大学歯学部兼任講師(歯周病学)。日本歯周病学会指導医・専門医、日本口腔インプラント学会代議員・指導医・専門医、米国歯周病学会会員、OJ正会員、日本臨床歯周病学会会員、日本インプラント臨床研究会サイエンス委員会委員長。変わらないのですが、回転させて用いる間に、ブラシ自体が少しずつ削れて、周囲溝の中にキトサン繊維が残るというのがほかと異なるポイントです。ブラシが削れていくことで、周囲溝の中でキトサンが溶けて抗菌作用や抗炎症作用を示します。 超高齢社会を迎え、ご自身でのブラッシングが難しい方や、メインテナンスに通うことも難しいという方が増えてきています。また、全身疾患を抱えている方も多いです。そのような方がインプラント周囲炎に罹患してしまった場合には外科治療をすることが難しいので、そういうケースにおいても「Labrida BioClean」は非常に有効だと考えています。コントラアングルハンドピースさえあればどこででも治療可能なので、たとえば訪問診療先に持っていける手軽さも魅力の一つです。Straumann Japan × 岩野義弘――最後に「Labrida BioClean」の導入を検討されている読者にメッセージをお願いいたします。岩野:ケアとしてもキュアとしても使えるブラシで、ブラシ自体が薬効を示すという特徴があるので、臨床上、非常に有効ではないかと思います。本製品は外科、非外科のどちらでも安全に使用できるので、今後のインプラント周囲粘膜炎、周囲炎の予防・治療に役立つことが期待できます。導入に特別な器材が必要ありませんので、ぜひご使用いただきたい製品です。127キトサンとは?参考文献1. Toledano M, et al. Efficacy of local antibiotic therapy in the treatment of peri-implantitis:A systematic review and meta-analysis. J Dent. 2021 Oct;113:103790.PMID 344550162. Fakhri E, et al. Chitosan biomaterials application in dentistry. Int J Biol Macromol. 2020 Nov 1;162:956-974.PMID 32599234
元のページ ../index.html#129