Quint DENTAL AD Chronicle 2023①プロテーパー・アルティメットのファイルラインナップ。左から順に使用する。②大きく開いた直線的な根管には、図の3種類を左から順に使用する。32――熱処理の温度の高低がファイルの性質を決定する重要な要素なのです常によいと思います。 ファイルの色は、熱処理の温度などにより決まります。このスライダーは熱処理加工してありますが、銀色から推測されるオーステナイト相寄りの加工が施されているようで、その結果として切削効率がよいのだと思われます。たとえば、グライドパス形成が効率よく行えますね。ね。一方、そういった規格性の乏しい“ジェネリックファイル”なるものが出回っているとの話を聞きました……。林:プロテーパーブランドが広く流通するようになり、模倣して作られた類似品も多く売られるようになりました。正規品の場合、同種類のファイルを並べたら、当然全部同じ色です。一方、類似品は同じ会社の同じ名前の製品でも色が異なることがあったりします。当然それらの性質は異なり、使用――さて、歯内療法について、最近はどのようなトレンドがありますか。林:根管形成の形態がどんどん変わってきています。昔と比べると、根管上部がすごく細くなってきている。俗にいうMI(minimally invasive)エンドがトレンドになっていると感じます。 プロテーパー・アルティメットをはじめ、最近の熱処理を施したファイルは、以前のものに比べ、コア径、すなわちファイルのいちばん根元のところの径が細くなっていてMIに対応しやすくなっています。 コア径が細ければ細いほどファイルの柔軟性が増すので、湾曲根管であっても、歯冠部をそこまで大きく削らず感も違います。 類似品は、料理で焼きむらがでるのと同じように、熱処理時の温度管理ができておらず、1本のファイルでも部分的に色が違うこともあります。そういうものは品質の担保がされておらず、破折の危険性も高い。治療中にファイルが折れるというのは一大事です。 類似品が出回るほど、プロテーパーは市場に影響力があるブランドなのだとも思います。プロテーパー・アルティメットはMIにも対応できる
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