第9回日本アライナー矯正歯科研究会の症例を供覧した。 海外演者として、尾島氏がもっとも注目している院内アライナー製造用材料・Graphy(韓国・Graphy社)について、Soo-Jin Kim氏(韓国・Graphy社研究所ディレクター)、Hwa Sung Chae氏(韓国・亜州大学校臨床教授)による講演が行われた。本講演では、熱によって元の形に戻ろうとする形状記憶特性をもつことから、患者には装着しやすく、口腔内では矯正力を伝達しやすいアライナー材料の特性とその臨床効果について詳細に述べられた。また第5世代の院内アライナー矯正治療を支えるソフトウェアNemoについて、María José Viñas氏(スペイン・マドリッド大教授)、Curro Segura氏(スペイン開業)から講演された。 また2023年から一般にリリースさ1980年代から現在に至る包括的歯科治療について語る山﨑長郎氏と尾島氏。矯正歯科治療とレジンを用いた審美歯科治療のコンビネーションについて症例を供覧する大河雅之氏。歯周治療と矯正歯科の相互効果や歯周病リスクの高い患者におけるアライナー矯正歯科治療について述べる中田光太郎氏。矯正治療が日本よりもさらに大きく進んでいることが何度も強調された。アライナーの歴史は100年と意外に古く、石膏模型と樹脂で直接装置を手製する第1世代、石膏模型をスキャニングしアライナーメーカーに装置の作製を依頼する第2世代、光学印象を採得しアライナーメーカーに装置の作製を依頼する第3世代、光学印象採得とソフトウェアによる治療計画立案後に歯列模型をプリントし、それをもとに装置を院内作製する第4世代があり、昨年のJAAOではこの第4世代についての講演が多く行われた。 そして尾島氏は、世界はすでに光学印象データから直接院内で装置を作製する第5世代を迎えていると語る。日本では第3世代のアライナー矯正治療が主流となったところだが、その先を見据えて情報をとらえる必要があること、また今後日本で第5世代の治療を各医院が行うことになるとしても、その質を第3世代より落としては意味がなく、第3世代を質で超えた第5世代のアライナー矯正治療を行うためにはハイスペックなソフトウェア、ハイスペックな3Dプリンタ、そして高品質のマテリアル、術者のつねに刷新される専門知識が必要であると述べられた。 本大会のプログラムは、こうした世界のアライナー矯正歯科の進化と、日本における一般歯科臨床との融合という状況を鑑みて組まれているようである。 国内演者のうち、補綴治療、審美歯科、歯周治療、インプラント治療とアライナー矯正治療のコンビネーションについて、それぞれ山﨑長郎氏(東京都開業)、大河雅之氏(東京都開業)、中田光太郎氏(京都府開業)、佐藤洋司氏(秋田県開業)から講演された。また他に熊谷友理子氏、渡邉仁資氏、趙建鑫氏、檀知里氏(以上東京都・スマイルイノベーション歯科・新宿)がアライナー矯正治療を行う臨床家として、小児や抜歯治療、開咬、過蓋咬合43矯正歯科の最先端を行く演者陣がそろう
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